ついに始まる決算シーズン、関税とAI投資の影響を市場はどう見るか?

  • 2025年7月14日
  • 2025年7月14日
  • BS余話

2025年7月第3週は、米国株式市場にとって転換点となる可能性がある1週間です。大手銀行の決算発表が集中し、トランプ大統領による新たな関税措置が企業業績にどう影響したかが注目されます。

決算発表で問われる「関税の影響」

米メディア「マーケットウォッチ」は2025年7月13日付けの記事の中で、今週の決算発表は、投資家が貿易戦争に対して最近見せている“余裕”の真価が問われる「最初の本格的な試練」になると指摘しています。エイプタス・キャピタル・アドバイザーズのデイブ・ワグナー氏は、「第1四半期には含まれていなかった関税の影響が、今回初めて具体的に反映される」と述べています。

JPモルガンとネットフリックスが決算発表の先陣を切る

今週は、JPモルガン・チェース(JPM)ネットフリックス(NFLX)を皮切りに、米大手銀行や成長企業が相次いで決算を発表します。S&P500企業全体の1株あたり利益成長率は前年同期比+4.8%と予想されていますが、これは2023年第4四半期以来で最も低い成長率です。営業利益率は12.2%と予想されており、前年並みながら、前四半期(12.7%)よりもやや下がる見通しです。

小売や自動車業界への関税の影響も注視

ウォルマート(WMT)マテル(MAT)といった小売企業は、関税による価格上昇に言及しています。一方、フォード(F)は、関税コストが年間15億ドルに上るとの見通しを示し、通期見通しを撤回しました。

ただし、多くの企業はまだ“事前に仕入れた非関税対象商品”を販売していたため、実際の影響が本格的に表れるのは2026年初頭になる可能性が高いと見られています。

銀行決算が示す米経済の現在地

JPモルガンに続き、ウェルズ・ファーゴ(WFC)、シティグループ(C)、バンク・オブ・アメリカ(BAC)、モルガン・スタンレー(MS)、ゴールドマン・サックス(GS)といった大手金融機関も今週決算を発表予定です。これらの企業の業績は、金利上昇や景気不透明感の中で、貸出、取引、M&Aがどう推移したかを明らかにします。

AIとテクノロジー企業への注目も続く

今後数週間にかけては、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる巨大テクノロジー企業の決算にも注目が集まります。AIへの設備投資の競争が続く中、メタ・プラットフォームズ(META)の積極的な人材獲得、アップル(AAPL)のAI開発への出遅れ、テスラ(TSLA)の経営と政治リスクへの懸念も焦点となります。

今週決算を発表する主な企業

今週はS&P500採用企業のうち42社が決算を発表します。金融のほかにも、ユナイテッド航空(UAL)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、ペプシコ(PEP)、アルバートソンズ(ACI)、J.B.ハント(JBHT)など、消費・ヘルスケア・物流など幅広い業種の企業が含まれています。

市場はすでに「最悪の関税リスクは織り込み済み」か?

S&P500指数は年初来で約6%上昇しており、4月の下落分をすでに回復しています。バンク・オブ・アメリカのアナリストは、規制緩和や関税リスク後退への期待がすでに株価に織り込まれているとしながらも、金融株は今後も堅調な投資先になり得ると分析しています。

今週の決算シーズンが始まることで、企業のファンダメンタルズと市場センチメントのギャップが明らかになるかもしれません。

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