2025年上半期、ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)の株価は151%も上昇し、市場の“隠れた勝者”として注目を集めています。仮想通貨の回復や新しい金融商品、そして新興テクノロジーの導入が、この急騰の背景にあります。
仮想通貨とトークン化の波に乗るロビンフッド
ロビンフッドは、仮想通貨市場の復活から大きな恩恵を受けています。取引ベースの売上は前年同期比で77%増の5億8,300万ドルとなり、その主力は仮想通貨とオプション取引でした。また、ヨーロッパ市場向けにブロックチェーン技術を活用した米国株取引プラットフォームを開発していると報じられたことで、5月には株価が急上昇しました。
さらに、2025年6月末には欧州連合(EU)で米国株の「ストックトークン」をローンチ。これは、従来の証券取引所を介さずに株式を取引できる仕組みで、今後の金融革新の布石とされています。
利上げ環境も追い風に
現在の金利環境もロビンフッドにとってはプラス材料です。同社は顧客の預かり資産から得られる利息収入を増やしており、収益の新たな柱となっています。また、プレミアムサービスである「ロビンフッド・ゴールド」や個人型退職口座(IRA)、ステーキングサービスといった新たな商品が、安定的な収入源として機能し始めています。
収益・利益ともに市場予想を上回る
2025年4月に発表された第1四半期決算では、売上高が50%増の9億2,700万ドルとなり、市場予想を上回りました。GAAPベースの純利益は114%増の3億3,600万ドル、1株あたり利益は0.37ドルでアナリスト予想と一致しました。この結果は、ビジネスモデルの拡張性と利益率の改善を証明するものでした。
S&P500未採用だが、今後に期待が集まる
現在、ロビンフッドはS&P500指数に採用されていませんが、その時価総額や収益成長の水準から、今後の採用候補として注目されています。2025年6月には、同じく急成長中の企業が新たにS&P500に採用された一方で、ロビンフッドは見送られました。この事実は一部の投資家にとって失望材料となりましたが、逆に今後の採用による追加的な資金流入への期待が残っています。インデックスファンドやETFからの資金流入が現実になれば、株価にさらなる上昇圧力がかかる可能性があります。
今後の見通しと投資家が注視すべき点
ロビンフッドは確かに株式・仮想通貨市場の好調を背景に急成長していますが、そのビジネスモデルは市場環境に大きく左右されます。特に仮想通貨市場の動向や金利政策、そして規制の変更には注意が必要です。
短期的なボラティリティは高いものの、長期的にはトークン化などの新分野における先行者利益や、若年層投資家の取り込みによってさらなる成長が期待されます。
まとめ
ロビンフッドは単なる手数料無料の証券会社から、次世代の金融インフラ企業へと進化しつつあります。仮想通貨、トークン化、利子収入、多様な金融商品群という複数の成長ドライバーを持つ同社は、2025年以降も投資家にとって注目の存在であり続ける可能性があります。今後、S&P500への採用が実現すれば、新たな資金流入と信頼性の向上も見込めるため、その動向にも注目です。