2025年7月13日付の米投資情報メディア「バロンズ(Barron’s)」の記事によると、チェコ共和国の中央銀行であるチェコ国立銀行(Czech National Bank)は、米国株ポートフォリオの一部として、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)株の保有を増やし、コインベース・グローバル(COIN)株の新規取得に踏み切ったことが明らかになりました。
パランティア株を買い増し
チェコ国立銀行は、2025年第2四半期にパランティア株を49,135株追加取得し、6月末時点での保有数は合計519,950株となりました。パランティアは、人工知能(AI)需要の高まりを追い風に、2025年前半だけで株価が約80%上昇するなど好調を維持しています。昨年9月にS&P500指数に採用されたことも、株価上昇の一因となっています。インデックス連動型ファンドによる買いが入りやすくなるため、構成銘柄への採用は大きな追い風となります。
コインベース株を新たに取得
一方で、同銀行は仮想通貨取引所を運営するコインベース株を新たに51,732株取得しました。第1四半期末時点でコインベース株を保有していなかったことから、今回が初めての投資となります。コインベースも2025年5月にS&P500に採用された銘柄で、インデックス連動ファンドからの資金流入が株価を押し上げています。また、今年はビットコインの価格が過去最高値を更新する場面もあり、仮想通貨市場の活況がコインベース株の支援材料となっています。2025年上半期の株価上昇率は41%、第3四半期に入ってからも10%近く上昇しています。
「インデックス連動戦略に変更なし」とコメント
チェコ国立銀行は、米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書でこれらの取引を明らかにしています。ただし、個別銘柄についてのコメントは避け、「インデックスへのパッシブ連動戦略に変更はない」との立場を示しました。今回の取得は、S&P500の構成銘柄変更に伴う投資とみられています。
中央銀行の動きが示す市場の変化
中央銀行がAI関連銘柄や暗号資産関連株をポートフォリオに組み込むのは珍しい動きです。パランティアやコインベースのように価格変動が大きい銘柄が、今後どのように公的機関の投資対象として扱われていくのか、市場参加者にとっても注目すべきトピックとなっています。