エヌビディア(NVDA)は2025年7月10日、ついに終値ベースで時価総額4兆ドルの大台を突破しました。前日には一時的にその水準に達したものの、終値では届かず。しかしこの日は0.8%高の164.10ドルで取引を終え、節目となる163.93ドルを上回って引けました。
アップルやマイクロソフトを追い抜くスピード達成
アップル(AAPL)が1兆ドルを達成したのは2018年、マイクロソフト(MSFT)は2019年と、いずれも数年をかけての成長でした。一方でエヌビディアは2023年に1兆ドルを突破してから、わずか2年で4兆ドルまで到達。生成AIブームとAIインフラ需要が、この急成長を後押ししています。
ブラックウェルの立ち上げが順調、アナリストも強気
株価上昇の背景には、次世代AIアクセラレーター「ブラックウェル」シリーズの本格立ち上げが順調に進んでいることがあります。バークレイズは目標株価を200ドルに引き上げ、ループキャピタルのアナリストは250ドル(時価総額6兆ドル相当)を見込むなど、ウォール街の期待も高まっています。
ソブリンAIが次の成長ドライバーに
シティグループのアナリストは、国家単位でのAIインフラ整備「ソブリンAI」によって、エヌビディアが数十億ドル規模の新たな売上を獲得する可能性があると指摘しました。サウジアラビアや欧州諸国との大型契約がすでに進行中で、エヌビディアの成長ストーリーに新たな章が加わろうとしています。
中国市場をめぐる複雑な駆け引き
一方で、中国市場における規制リスクは依然として大きな懸念材料です。バイデン政権に続き、トランプ大統領も中国向けのH20チップを禁止。エヌビディアはこれにより45億ドルの減損を計上しました。
それでもジェンスン・フアンCEOは、中国市場向けの新型AIチップを開発中で、9月にも発売される見通しです。この新チップは、ブラックウェルRTX Pro 6000をベースとしつつも、NVLinkや高帯域幅メモリなどの高度機能を省いた仕様になると報じられています。
規制の抜け道か、再びの失敗か?
ただし、市場関係者の間では慎重な見方もあります。米国みずほ証券のアナリスト、ジョーダン・クライン氏は「規制を回避できる仕様だとしても、またすぐに遮断される可能性がある」として、新チップ戦略に懐疑的です。過去のH20チップの失敗が、再び繰り返されるリスクも残ります。
株価は年初来安値から大きく回復
エヌビディア株は、今年4月4日に記録した年初来安値94.31ドルから、約74%上昇しています。時価総額の節目を達成したことで、今後は200ドル台に向けたさらなる上昇が注目されることになります。