2025年、トランプ大統領の下で化石燃料を支援する政策が継続されているにもかかわらず、米国のエネルギー株は市場全体に対して出遅れています。しかし、米メディア『バロンズ』が報じた内容によれば、そのような状況下でも投資妙味のある銘柄が存在しています。
割安感が強まるエネルギーセクター
『バロンズ』によると、エネルギーセレクト・セクターSPDR ETFは2025年において年初来3.3%の上昇にとどまり、S&P500の約6%という上昇率に対して大きく劣後しています。ただし、ヘネシー・エネルギー・トランジション・ファンドのポートフォリオマネージャーであるベン・クック氏は、エネルギーセクター全体が割安であると分析しています。
同ETFのEV/EBITDA倍率は7倍程度に過ぎず、これはS&P500全体の半分程度の水準です。加えて、同セクターは指数の約2倍のフリーキャッシュフローを生み出しており、財務的な規律や株主還元の姿勢が強化されています。
エクソン・モービル(XOM)
総合エネルギー企業であるエクソン・モービルは、どのようなエネルギー環境下でも安定した収益を確保できる体制を整えています。クック氏によれば、1バレル55ドルという低水準の原油価格でも年間1,100億ドルのフリーキャッシュフローを創出できる見込みであり、そのうち200億ドルを自社株買いに充てる方針です。これにより、今後5年間で約20%の時価総額を自社株買いで削減する可能性があります。
キンダー・モルガン(KMI)
天然ガスパイプラインを保有・運営するインフラ企業であるキンダー・モルガンは、AIの電力需要拡大による天然ガス需要増の恩恵を受けています。同様に、競合が容易に模倣できない輸送ネットワークを持つウィリアムズ・カンパニーズも評価されています。
*過去記事「天然ガス×AI時代の本命銘柄?──キンダー・モルガンをバロンズが高評価」
エクスパンド・エナジー(EXE)
チェサピーク・エナジーとサウスウエスト・エナジーの統合により誕生したエクスパンド・エナジーは、AI需要の集中する地域に良質なガス資産を保有しています。こうした地理的優位性が、今後の収益成長を支える要素となると考えられています。
市場全体のパフォーマンスが低くても選別投資が有効
2025年に入ってからのエネルギー株は、市場の期待に対して物足りない動きが続いています。それでも、フリーキャッシュフローや資産の質、AI需要との相関性などに注目すれば、今後のリターンを狙える銘柄は存在しています。
このような厳しい局面だからこそ、企業の本質的な価値を見極めて投資することが、差別化されたリターンを得る鍵になると考えられます。