台湾積体電路製造(TSMC)が2025年7月10日、2025年4~6月期の売上を発表しました。前年同期比で39%増加し、AI向け半導体の需要が引き続き高まっていることを示しています。これはエヌビディア(NVDA)やアップル(AAPL)などの大手顧客からの強い需要に支えられた結果です。
エヌビディアやアップルからの受注が追い風に
TSMCの4~6月期の売上は新台湾ドルで9,340億元(約320億ドル)に達し、市場予想(9,280億元)を上回りました。特にAIチップの分野では、ChatGPT以降のAI需要の継続的な拡大が収益を後押ししています。
アナリストのチャールズ・シュム氏によれば、TSMCは第2四半期の売上ガイダンス(292億ドル)の上限を達成した可能性が高いとされ、インテル(INTC)からの受託生産増もプラス材料となっています。
AI投資拡大と供給能力強化の方針
TSMCの魏哲家CEOは、AIチップに対する需要が依然として供給を上回っていると述べ、2025年の売上成長率を米ドルベースで20%台半ばとする見通しを再確認しました。同社はアリゾナでの製造拡張に加え、日本、ドイツ、台湾での新工場建設にも1,000億ドルの投資を計画しています。
TSMCの強さと課題
TSMCはエヌビディアのAI製品やiPhone向けの最先端半導体の製造を担うことで、世界のテクノロジー供給網の中核をなしています。一方で、スマートフォン市場の鈍化や米中貿易摩擦などの外部要因も無視できません。
2025年は、関税の影響が電子機器全般の需要に影響を及ぼす可能性があるため、慎重な姿勢も必要とされます。
市場全体に与える影響
エヌビディアが時価総額で4兆ドルの大台を突破したことで、TSMCのようなAIインフラを支える企業への投資熱が再燃しています。TSMCの好決算は、AIブームの持続性と、半導体産業の成長ポテンシャルを改めて市場に印象づけました。4〜6月期の決算発表は7月17日に予定されています。
*過去記事はこちら TSMC