2025年7月9日、オッペンハイマー社のアナリストであるブライアン・シュワルツ氏は、マイクロソフト(MSFT)の格付けを「パフォーム」から「アウトパフォーム」へと格上げしました。目標株価は600ドルに設定されており、これは現在の時価総額約3.7兆ドルから、4兆ドル突破を視野に入れた強気な見通しです。
Copilot StudioによるAIエージェント構築の可能性
シュワルツ氏は、マイクロソフトが提供する「Copilot Studio」に注目しています。このプラットフォームは企業が独自のAIエージェントを構築・管理できる仕組みを提供しており、既存の「Copilot」よりも高い柔軟性とカスタマイズ性を備えています。これにより、業務効率の自動化が進み、エンタープライズ市場におけるAI需要を取り込むことが期待されています。
さらに、Microsoft 365製品群の有料ユーザーがすでに4億人を超えていることから、ユーザーの囲い込み効果も大きく、他社製品への乗り換えを難しくする要因にもなっています。
Azure事業の成長が全体売上をけん引
オッペンハイマーの基本予想では、Azureの売上は今後5年間で年率29%の成長が見込まれており、2030年にはマイクロソフト全体の売上の64%を占める可能性があるとしています。Copilot StudioなどのAI関連機能は、Azureプラットフォーム上での利用を促進し、クラウド事業の拡大にも寄与する見通しです。
オープンAIとの提携による収益貢献も注目
別の調査会社であるカンター・フィッツジェラルドのアナリスト、トーマス・ブレイキー氏は、オープンAIとの提携による収益効果にも注目しています。現在、オープンAIは収益の20%をマイクロソフトに還元していますが、将来的にオープンAIがIPOを実施し、マイクロソフトが40%の株式を保有する形になれば、2030年時点でマイクロソフトの1株利益の16%を占めるとの試算もあります。
今後の投資対象としての位置づけ
シュワルツ氏は、マイクロソフトを「AIとクラウドのテーマを体現する大型株の代表」と位置づけており、長期保有にふさわしいコア銘柄と評価しています。AIエージェントという新たな成長ドライバーに加え、堅牢な既存ビジネス基盤と戦略的パートナーシップを有するマイクロソフトは、今後の株価上昇余地が大きいといえそうです。
*過去記事はこちら マイクロソフト MSFT