2025年7月、アップル(AAPL)のAI戦略に対する投資家の懸念が高まっています。米証券会社ウェドブッシュのアナリストは9日、「アップルはAI分野で大きく出遅れており、Perplexity AIの買収こそが挽回のカギになる」との見方を示しました。
なぜPerplexityなのか
Perplexityは、AIを活用した検索エンジンおよびチャットボットを展開するスタートアップ企業で、既にアップルが同社の買収に関心を示しているとの報道もあります。アルファベット(GOOGL)、アマゾン(AMZN)、メタ・プラットフォームズ(META)といった競合がAI分野で急速に存在感を高める中、アップルはこのトレンドに乗り遅れているとの指摘が続いています。
*過去記事「アップル、生成AI競争で出遅れか──Siri刷新とPerplexity買収の行方」
ウェドブッシュによれば、AIは「過去50年間で最大の技術トレンド」であり、この波に乗り遅れることは重大な戦略的損失になりかねないとのことです。
アップルのAI対応は不透明
現在、アップルには23億5千万台以上のアクティブデバイスという巨大なインストールベースがありますが、それをAIプラットフォームとして活かしきれていない現状に対して、アナリストたちは警鐘を鳴らしています。
特にSiriへのAI統合が遅れており、2025年6月の年次開発者会議でも明確なスケジュールが示されなかったことが、株価の下落を招いた一因とされています。実際、アップル株は年初来で17%の下落となっており、市場の不安を反映しています。
Googleとの関係悪化や訴訟リスクも
一方で、Perplexityの買収にはリスクも伴います。バンク・オブ・アメリカのアナリストは、買収がグーグルとの既存の検索エンジンパートナーシップを損なう可能性があると警告しています。さらに、Perplexityはニュース・コープとの間で著作権侵害訴訟を抱えており、法的リスクも無視できません。
それでもウェドブッシュは強気姿勢
それでもウェドブッシュは強気を崩していません。同社は、アップルがメタのように「AI戦争路線」に踏み出すべき時だと主張しています。メタは、AI人材の大量採用や140億ドル規模のScale AIへの投資などで巻き返しを図っており、アップルにも同様の大胆な一手が求められているといいます。
ウェドブッシュは、アップルに対して「アウトパフォーム」の格付けを維持しており、目標株価を270ドルに設定しています。また、最近立ち上げられた「ダン・アイブス・ウェドブッシュAIレボリューションETF(IVES)」にもアップルが組み入れられています。
*関連記事「AIブームの本命ETF?ダン・アイブス監修の「IVES」に注目の理由」
おわりに
AIの第4次産業革命が急速に進む中、アップルが静観している時間は残されていないかもしれません。Perplexityの買収は、アップルがAI市場において主導権を握るための一手となるのでしょうか。今後の動向に注目です。