2025年7月8日から始まったアマゾン(AMZN)の「プライムデー」が、米小売業界の夏のセールシーズンを牽引する存在として注目を集めています。アドビ(ADBE)のデータによると、初日のオンライン売上は約80億ドルと、前年比9.9%増加し、感謝祭当日の61億ドルを超える今年最大のeコマース売上日となりました。
今年は史上初の4日間開催
従来は2日間で実施されていたプライムデーですが、2025年は初めて4日間に延長されました。期間延長により、消費者は価格を比較しながら慎重に購入タイミングを計る傾向が強まっており、購買活動が週を通じて分散する可能性が高いとみられています。
売れ筋は家電・電子機器・学用品
初日に最も売上が伸びたカテゴリーは家電と電子機器で、それぞれ135%、95%増加しました。さらに、リュックや文房具などの学用品は190%増と、バック・トゥ・スクール需要が高まっていることも示されました。ディスカウント率はおおむね9〜23%で、今週いっぱいこの水準が維持されると見込まれています。
アマゾン株は上昇、競合他社は軟調
バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ジャスティン・ポスト氏は、今年のプライムデーによるアマゾンの総流通額(GMV)が210億ドルを超える可能性があると予測しており、同社株に対して「買い」評価と248ドルの目標株価を提示しています。実際にアマゾン株は9日に1.5%上昇し、222.54ドルで取引を終えました。一方、ウォルマート(WMT)は0.3%安、コストコ(COST)は0.4%安となり、競合他社の株価はやや軟調な動きとなりました。
モメンタム・コマースの見解とアマゾンの反論
ブランド向けにアマゾン内販売支援を行うモメンタム・コマースは、初日の売上が前年比41%減少したと報告し、4日間全体の成長見通しを14%増から9.1%増に下方修正しました。ただし、同社のクライアントブランドの販売は、平常時比で477%増となっており、依然として健全な成長であるとの見解も示されています。
これに対してアマゾンは、モメンタム・コマースのデータは「非常に不正確」と指摘し、Bloomberg TVでのアマゾン・プライム担当副社長ジャミル・ガニ氏の発言を引用。まだ初日が始まったばかりであること、顧客のエンゲージメントが非常に高いことを強調しました。
セールの成功は最終日まで見極めが必要
今回のように開催期間が延びたことで、初日のデータだけでは全体の勢いを正確に把握するのが難しい状況です。顧客はより慎重に買い時を見極め、各小売業者間で価格を比較する傾向が強まっており、今後の展開を注視する必要があります。
今回のプライムデーは、消費者の購買スタイルや小売業界の販売戦略がどのように変化していくかを読み解くうえでも、重要なイベントとなりそうです。