オラクルがクラウドで躍進へ、大型契約が示すAI時代の成長戦略とは?

  • 2025年7月9日
  • 2025年7月9日
  • BS余話

2025年7月、米ソフトウェア大手のオラクル(ORCL)が発表した一連のクラウドサービス契約が、投資家やアナリストの注目を集めています。とりわけ、年間300億ドル超の売上を生む可能性のある取引の存在は、同社の長期成長シナリオに対する信頼性を大きく高める要因と見られています。

クラウド契約が示す「転換点」

米証券会社ジェフリーズのアナリスト、ブレント・スリル氏を中心とするチームは、今回の発表を「同社のクラウド戦略における重大な転換点」と位置づけています。オラクルが複数の大型クラウド契約を締結したことにより、残存パフォーマンス義務(RPO)――すでに契約済みだが将来計上される売上――の成長が100%を超える見通しとなっており、これは他の大手ソフトウェア企業と比べても異例だと強調されています。

未公開の顧客、そして“スターゲート計画”との関係

オラクルは具体的な契約先を明かしていないものの、一部ではこの契約が、トランプ大統領が主導するAIインフラ構想「スターゲート計画」に関連しているとの見方も出ています。このプロジェクトには、オープンAIやソフトバンクグループも参加しており、オラクルはAI向けのデータセンターに4.5ギガワット分の電力供給契約を結んだと報じられています。

アナリストが指摘する“3つの論点”

ジェフリーズのアナリスト陣は、今回の契約群が以下の点で市場の見方を一変させる可能性があるとしています。

  1. バックログ(受注残高)成長の持続性
     これまで議論されてきたオラクルの契約ベース成長の持続性に対し、実際に数十億ドル規模の契約が確認されたことで、長期にわたる成長がより信頼できるものとなったとしています。
  2. 売上インフレクションの時期
     今回の契約は2026年度の収益には直接貢献しないものの、2028年度以降の売上急拡大への確かな道筋を与えるものであり、今後の収益曲線の加速度的な変化が予想されています。
  3. AI需要を収益化する力
     オラクルはAI関連の需要を取り込み、巨大契約を勝ち取ることで、ハイパースケーラーとしての実力を証明しました。特にIaaS(Infrastructure as a Service)分野では、契約単体で2028年度の売上予想の65%を構成し得ると試算されています。

長期ガイダンスへの影響

市場のコンセンサスでは、2028年度のオラクル全体の売上は930億ドルと予測されていますが、今回の300億ドル規模の契約だけでその3分の1以上を占める見込みです。これにより、同社が掲げる2029年度の売上目標1040億ドルは、以前よりも“達成可能”で“リスクの少ない目標”として捉えられるようになったとジェフリーズは述べています。

さらに、今後開催予定のアナリストデーでは、オラクルがこうした見通しを反映して、長期財務モデルを上方修正する可能性があるとも指摘されています。

オラクル株は今後も注目対象に

今後、AIインフラ需要の拡大とともに、オラクルの売上成長が本格化する可能性が高まっており、引き続き注目したい銘柄となっています。

*過去記事「オラクルが躍進!オープンAIとの300億ドル契約で株価急騰

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