IPO後10倍に急騰したサークル株、過熱感をアナリストが警告

  • 2025年7月9日
  • 2025年7月9日
  • BS余話

2025年6月に新規上場を果たしたステーブルコイン「USDC」の発行企業、サークル・インターネット・グループ(CRCL)の株価が過熱気味だという警告が出ています。7月8日、米国みずほ証券のアナリスト、ダン・ドレブ氏が「アンダーパフォーム」の初期評価を発表し、目標株価を85ドルと設定しました。これは前日の終値207.46ドルから59%以上下回る水準です。

IPO後に一時10倍まで上昇した株価

サークルは6月5日にIPOを実施し、初値は31ドルでした。その後、6月23日には一時298.99ドルまで急騰。報道によれば、この急騰は市場の期待の高さを反映しているものの、根拠のない楽観が広がっている可能性があるとのことです。

成長見通しへの懸念と2027年の売上予測

ドレブ氏は、現在のアナリスト予測(2027年に売上45億ドル)に対して懐疑的な立場をとっています。金利の低下が今後想定されることや、USDCの流通量の伸びが過大評価されていると指摘。より現実的な売上予測として、2027年に33億ドルと試算しています。

また、USDCの普及による利益の多くをコインベース(COIN)などの流通パートナーが得ている構造も、サークルにとっては逆風になるとの見解が示されています。

「Genius法案」が招く新たな競争

米議会で進められている「Genius Act(米国ステーブルコイン革新法案)」の成立が、サークルにとって一見好材料に見える一方で、ライバル企業の新規参入を促すリスクもあるとしています。すでにペイパル(PYPL)は独自のステーブルコイン「PYUSD」を発行しており、アマゾン(AMZN)やウォルマート(WMT)も参入を検討しているとのことです。

最も悲観的なアナリストはJPモルガン

さらに厳しい見方を示しているのがJPモルガンのアナリスト、ケネス・ワーシントン氏です。同氏はIPOの主幹事の1社に所属しながらも、目標株価を80ドルと設定し、投資家に売却を推奨しています。

今後の注目ポイント

サークル株は、IPO直後の高騰に加え、ステーブルコイン市場の成長期待が織り込まれた状態にありますが、今後は金利動向、法規制、競合参入の影響を慎重に見極める必要があります。米国みずほやJPモルガンによる慎重な評価が、投資判断に一石を投じています。

*過去記事「サークルが全米信託銀行の設立申請、USDCと機関投資家向け保管サービスに本腰

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