2025年7月8日、米投資情報メディア『バロンズ』が報じたところによると、人工知能(AI)インフラに対する世界的な投資が急拡大しており、新設・建設中のデータセンター投資額は累計で7,500億ドルに達しているそうです。
スターゲート・プロジェクトだけで1,000億ドル規模
調査会社バーンスタインのアナリスト、アレックス・ワン氏によれば、この巨額投資のうち1,000億ドルは「スターゲート(Stargate)」と呼ばれる次世代データセンター計画に充てられており、同プロジェクトは2025年後半から2026年にかけて本格稼働する見込みです。
このような巨額の資本投入が続いている背景には、推論能力に優れたAIモデルの普及があります。オープンAIによる「o1」「o3」、グーグルのGemini、そしてアンソロピックやxAIの最新モデルが代表例です。これらのモデルは、単なる文章生成ではなく、複雑な思考処理や情報検索を行ったうえで回答を導き出す「推論型AI」として注目されています。
エヌビディアが最大の恩恵を享受
このAIインフラ投資の波に乗って、エヌビディア(NVDA)の株価も上昇を続けています。同社はAI向けGPUの世界的なリーダーであり、HBM3Eメモリを搭載した高性能GPUソリューションや、フルラック構成のスケーラブルなAIコンピューティング製品を展開しています。
ワン氏は、GPUはASIC(特定用途向けチップ)と比較しても処理能力が数倍に達するとし、「現在でもエヌビディアのソリューションは業界で最高水準」と述べています。
AIスタートアップ投資も過去最高を更新
さらにワン氏は、AIスタートアップへの投資が過去最高を記録したことにも言及しています。2025年第1四半期のAI関連スタートアップへの資金流入は600億ドルに達し、全スタートアップ投資の53%を占めました。これは、AIがスタートアップ市場でも極めて重要なテーマであることを示しています。
今後も続くAIインフラ投資の拡大
バロンズの記事では、AIの性能向上と普及に伴い、今後もインフラ投資が加速すると予想されています。すでに業界では、AI専用のデータセンターが新たな成長ドライバーと見なされており、GPU需要の持続的な増加がエヌビディアをはじめとする半導体企業にとって追い風となっています。