2025年7月7日現在、ネットフリックス(NFLX)の株価は年初来で約45%の上昇を記録し、S&P500の上昇率(6.2%)を大きく上回っています。しかし、ここにきて「一時的な調整が必要」との見方が出始めています。
アナリストが「買い」から「中立」へ格下げ
シーポート・リサーチのデビッド・ジョイス氏は6日、ネットフリックスの投資判断を「買い」から「中立」へ引き下げました。従来の目標株価1,230ドルも撤回しています。
ジョイス氏は、「今後の成長には時間がかかる」と述べ、広告モデルやライブ配信事業、プラットフォーム拡張といった新戦略が、すでに株価に織り込まれすぎていると指摘しています。
好調な業績と市場の期待
ネットフリックスはここ数年、パスワード共有の制限や、低価格の広告付きプランの導入によって、売上・利益・加入者数のいずれも堅調に拡大しています。加えて、景気の先行きが不透明な中、「ディフェンシブ銘柄」としての性格も強まり、投資家からの注目度は一段と高まっています。
トランプ大統領による新たな貿易政策で物価上昇懸念が広がるなかでも、サブスクリプション型の動画配信サービスは消費者の支持を集めており、ネットフリックスは安定的なキャッシュフローが見込める企業として安心感を与えています。
時価総額1兆ドルを目指すネットフリックス
2025年4月、ウォール・ストリート・ジャーナルは、ネットフリックス経営陣が2030年までに売上倍増と時価総額1兆ドルの達成を目標に掲げていると報じました。現在の時価総額はおよそ5,520億ドルであり、達成には距離があるものの、十分に現実味のあるビジョンとされています。
ただし、経営陣はこの数値が「社内の長期的な目標」であり、「公式な予測ではない」とも強調しています。特にスポーツ中継などのライブコンテンツ強化が、新たな加入者の獲得を後押しする可能性に注目が集まっています。
成長期待の織り込み済みリスク
ジョイス氏は「広告事業、コンテンツ集約、体験型コンテンツの拡充、シェア拡大といった多くの成長要素は、すでに株価に織り込まれている」と指摘しています。今後は、こうした戦略を一つずつ確実に実行していく時間が必要な段階に入ったと見るべきかもしれません。
注目の決算発表は7月17日
ネットフリックスの第2四半期決算発表は7月17日に予定されています。広告事業の進捗、加入者数の伸び、ライブコンテンツの展開状況など、投資家が注目するテーマが多数あります。
今回の格下げは、株価が過度な期待によって過熱している可能性への警戒感を示すものとも言えます。成長銘柄としてのネットフリックスが「次のステージ」へどう進むのか──7月の決算は、その道筋を占う重要な分岐点となりそうです。
*過去記事はこちら ネットフリックス NFLX