AI時代の勝ち組?IBMがビッグテックを凌駕する理由

  • 2025年7月8日
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2025年、インターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)の株価は年初から大きく上昇し、他のビッグテック株を上回る好調なパフォーマンスを記録しています。株価の上昇率は33%に達し、メタ・プラットフォームズ(META)の23%、マイクロソフト(MSFT)の18%、エヌビディア(NVDA)の17%超、アマゾン・ドット・コム(AMZN)の1%強を大きく引き離しています。一方、アップル(AAPL)は16%、アルファベット(GOOGL)は約7%の下落と対照的です。

メリウス・リサーチの見解:「ユニークな存在」としてのIBM

メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏は、IBMがソフトウェア市場において他社とは一線を画す存在であると指摘しています。同社の強みは、インフラ系ソフトウェア事業の「安定性」にあります。

特にIBMのソフトウェアは、「使用量ベース」や「インスタンスベース」といった価格設定モデルを採用しており、顧客にとって解約が容易ではない点が特徴です。これに対し、アドビ(ADBE)、セールスフォース(CRM)、ワークデイ(WDAY)といったSaaS企業は「有料シート」に依存しており、生成AIの登場によって従来のビジネスモデルの脆さが露呈しつつあります。

投資家の期待が集まる「安定成長型」企業

SaaS企業の成長鈍化やAIの収益化の難しさが顕在化する中、投資家の関心は安定したキャッシュフローを生む企業へと移りつつあります。クラウド分野で引き続き成長を続けるマイクロソフトやオラクル(ORCL)、そしてインフラ系ソフトウェアで強みを持つIBMやブロードコム(AVGO)などが支持を集めています。

地政学リスクと無縁な「安全資産」としての魅力

AI分野での成長が期待されているケイデンス・デザイン・システムズ(CDNS)やシノプシス(SNPS)といった企業は、米中間の貿易摩擦など地政学的リスクに晒されています。これに対して、IBMやブロードコムは比較的その影響を受けにくく、安全資産としての位置づけが強まっています。

買収による成長──「ロールアップ」戦略の巧みさ

IBMやブロードコムは、企業買収を通じて製品ポートフォリオを拡大する「ロールアップ」戦略にも長けています。この戦略は、既存の安定収益を維持しながら成長分野を取り込むことで、長期的かつ一貫した業績拡大を実現する手法です。

メリウスは、AI半導体を主軸とするブロードコムとは異なり、IBMが「安定成長型」としてユニークなポジションを築いていると評価しています。

2027年を見据えた成長とバリュエーション

インフラ系ソフトウェア部門が今後も年間二桁成長を続けた場合、IBMの企業価値倍率(EV/FCF)は2027年に23倍に達する可能性があると予想されています。これは、現在約20倍で取引されているトップSaaS企業を上回る水準でありながら、マイクロソフトやオラクルといった高成長クラウド企業と比べれば依然として割安と考えられます。

変革の時代にこそ光る「変わらぬ強さ」

生成AIの台頭でテクノロジー業界が変革の波に包まれる中、IBMはその安定したソフトウェア基盤と積極的な買収戦略により、投資家からの信頼を高めています。過剰な期待ではなく、堅実な収益と現実的な成長性を重視する投資家にとって、IBMは今後も魅力的な選択肢であり続けると考えられます。

*過去記事はこちら IBM

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