銀は「今世紀最高の取引」になるのか?その可能性と投資戦略を探る(後編)

  • 2025年7月7日
  • 2025年7月7日
  • BS余話

2025年7月5日、マーケットウォッチは「シルバー(銀)は今世紀最大の投資チャンスかもしれない」とする注目記事を公開しました。構造的な供給不足、急増する産業需要、そして一部の米国州で銀を「法定通貨」と再定義する動きが相まって、銀市場には新たな潮流が訪れています。

この記事では、「前編」で紹介した銀ETFと銀鉱山株の詳細を掘り下げ、実際にどのような銘柄で「シルバー投資」を行えばよいのかを整理します。


銀投資の王道:ETF(上場投資信託)

iシェアーズ・シルバー・トラスト(ティッカー:SLV)

  • 運用会社:ブラックロック
  • 内容:物理的な銀の現物を保有し、その価格に連動するETF
  • ポイント
    • 流動性が高く、米国市場で取引量が最も多い銀ETF
    • 売買が簡単で、スプレッドが小さいため短中期の投資にも適している
    • 信託報酬は年0.50%

SLVは「金のGLD」に対する銀の代表格として、多くの投資家に選ばれています。

スプロット・フィジカル・シルバー・トラスト(ティッカー:PSLV)

  • 運用会社:スプロット・アセット・マネジメント(カナダ)
  • 内容:銀地金をカナダ王立造幣局に保管し、その数量に基づいて運用
  • ポイント
    • 監査・保管体制が明確で、実物資産としての信頼性が高い
    • 長期投資向けで、「引き出し可能」な仕組みも存在(一定数量以上)
    • 信託報酬は年0.62%

PSLVは、金融危機や通貨リスクへの備えとして「実物資産を口座外で保有したい」と考える投資家に人気があります。


銀価格が上がれば跳ねる:鉱山株(ミネラル株)

ETFが「安定した値動き」を提供する一方、鉱山株は価格上昇時のレバレッジ効果が魅力です。

ファースト・マジェスティック・シルバー(ティッカー:AG)

  • 本社所在地:カナダ・バンクーバー
  • 主な操業地:メキシコ
  • 特徴
    • 売上の大部分が銀に依存する「純銀系」企業
    • 銀価格に対して非常に高い感応度を持つ
  • リスク
    • 銀価格の下落時には業績が急悪化する可能性
    • 政治・労働リスク(メキシコ政府の鉱業政策変更など)

投機的な銀上昇局面では、AGのような純銀株が最も激しく反応します。

パン・アメリカン・シルバー(ティッカー:PAAS)

  • 本社所在地:カナダ・バンクーバー
  • 操業地域:ペルー、メキシコ、アルゼンチン、ボリビア、カナダなど
  • 特徴
    • 銀と金の両方を生産しており、複数鉱山に分散
    • 安定した売上構造と配当政策が魅力
  • 戦略
    • 近年はM&Aにも積極的で、2025年にはMAGシルバーを買収

安定性と成長性を両立したバランス型の鉱山株として評価されています。

コー・マイニング(ティッカー:CDE)

  • 本社所在地:アメリカ・イリノイ州
  • 主な鉱山:米国(ネバダ州)、メキシコなど
  • 特徴
    • 銀と金の比率がほぼ半々の「ハイブリッド型」
    • 中堅規模でM&Aや銀価格の変動に大きく影響を受ける
  • 最近の動き
    • 2025年、シルバークレストを17億ドルで買収へ

CDEは価格上昇時に大きく跳ねる一方、下落局面では赤字リスクもあるため、適切なポートフォリオ構成が求められます。


なぜ「バーベル型」が有効なのか?

銀市場はボラティリティが高く、価格変動の予測が難しいという特性があります。そこで、以下のような「バーベル戦略」が有効です。

投資対象特徴役割
ETF(SLV・PSLV)安定的に銀価格に連動「守り」=基本的な価格上昇を確実に捉える
鉱山株(AG・PAAS・CDE)価格が急騰すれば爆発的な上昇「攻め」=リスクは高いが、数倍のリターンも

価格が30ドルから50ドルを超えるような局面では、鉱山株が一気に評価される可能性があるため、両者を組み合わせることで上下両面に備えることができます。


まとめ:銀投資の新時代へ

シルバーはもはや、昔の「金の代替品」ではありません。産業用途、通貨再評価、供給制約という三重のテーマにより、今後の数年で「資産としての銀」は劇的に再評価される可能性があります。

ETFで基礎を固め、鉱山株で値幅を狙う「バーベル戦略」で、シルバーの“第3の夜明け”に備えるタイミングが来ています。

*前編はこちら

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