銀は「今世紀最高の取引」になるのか?その可能性と投資戦略を探る(前編)

  • 2025年7月7日
  • 2025年7月7日
  • BS余話

2025年7月5日、マーケットウォッチが「シルバー(銀)は今世紀最大の投資チャンスかもしれない」と大胆に主張する記事を公開しました。金と比べて注目度が低い銀が、今まさに大きな変化の波に乗ろうとしているというのです。

本記事では、その注目記事の内容を紹介しつつ、銀投資を検討するうえでの視点を整理していきます。


銀価格は過去にも「静かに」高騰してきた

銀は歴史的に「急騰前に静かな蓄積期間を持つ」傾向があります。過去の代表的な上昇局面としては以下が挙げられます。

  • 1974〜1980年:+1,363%
  • 2001〜2008年:+414%
  • 2006〜2012年:+321%

つまり、今がまさにその「静かな時期」の終わりである可能性があるというわけです。


供給不足が続く構造的な背景

2024年、銀の供給は需要を1.48億オンス下回り、2025年も1.18億オンスの赤字が見込まれています。

  • 鉱山供給は2015年のピークから減少傾向(891→820百万オンス)
  • 銀は主に銅や金などの副産物として採掘されているため、投資不足により増産が困難
  • 再利用(リサイクル)も価格上昇に対して鈍い動き

このように、需給ギャップが埋まる気配は見えません。


銀の主戦場は「工業用」へ

現在、銀の80%以上が工業用途に使われており、特に太陽光発電(PV)での使用が急増しています。

  • 2030年には太陽光パネルによる銀需要が3倍に達するという予測も
  • 工業用途は価格弾力性が低く、価格が上がっても需要が減りにくい

つまり、価格が上昇しても「使われ続ける銀」という構図が見えてきます。


銀が「通貨」として再評価されつつある

2025年5月、フロリダ州は銀と金を「法定通貨」として再定義する法案を可決。2026年7月からは州内で銀貨が売買税なしで使用可能になります。

テキサス州も同様の法案を準備しており、他州も追随する可能性があることから、実需+政策的な後押しが相乗効果を生んでいます。


銀投資の戦略:現物・ETF・鉱山株を組み合わせる「バーベル型アプローチ」

記事では、以下のような投資戦略が紹介されています。

  1. 物理的な銀の保有
     アメリカのイーグル銀貨など、知名度のあるコインを安全な場所に保管。
  2. ETFと鉱山株を組み合わせる
     - ETF(例:SLV, PSLV)で価格の波に乗る
     - 鉱山株(例:ファースト・マジェスティック・シルバーパン・アメリカン・シルバー)でレバレッジ効果を狙う

*詳細は「後編」で。


まとめ:銀は金の影に隠れた「現代的な通貨資産」

金が「保管」される資産であるのに対し、銀は「働く」資産です。電子機器や再生可能エネルギー分野での需要、供給の制約、そして一部州での通貨的再評価が重なることで、銀は今後大きく評価され直す可能性があります。

「金に目を奪われているうちに、銀が駆け上がっていた」――そんな未来にならないよう、今こそ投資家はポートフォリオの中に「シルバーの余地」を考えてみるべきかもしれません。


*後編はこちら

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