2025年7月5日、マーケットウォッチが「シルバー(銀)は今世紀最大の投資チャンスかもしれない」と大胆に主張する記事を公開しました。金と比べて注目度が低い銀が、今まさに大きな変化の波に乗ろうとしているというのです。
本記事では、その注目記事の内容を紹介しつつ、銀投資を検討するうえでの視点を整理していきます。
銀価格は過去にも「静かに」高騰してきた
銀は歴史的に「急騰前に静かな蓄積期間を持つ」傾向があります。過去の代表的な上昇局面としては以下が挙げられます。
- 1974〜1980年:+1,363%
- 2001〜2008年:+414%
- 2006〜2012年:+321%
つまり、今がまさにその「静かな時期」の終わりである可能性があるというわけです。
供給不足が続く構造的な背景
2024年、銀の供給は需要を1.48億オンス下回り、2025年も1.18億オンスの赤字が見込まれています。
- 鉱山供給は2015年のピークから減少傾向(891→820百万オンス)
- 銀は主に銅や金などの副産物として採掘されているため、投資不足により増産が困難
- 再利用(リサイクル)も価格上昇に対して鈍い動き
このように、需給ギャップが埋まる気配は見えません。
銀の主戦場は「工業用」へ
現在、銀の80%以上が工業用途に使われており、特に太陽光発電(PV)での使用が急増しています。
- 2030年には太陽光パネルによる銀需要が3倍に達するという予測も
- 工業用途は価格弾力性が低く、価格が上がっても需要が減りにくい
つまり、価格が上昇しても「使われ続ける銀」という構図が見えてきます。
銀が「通貨」として再評価されつつある
2025年5月、フロリダ州は銀と金を「法定通貨」として再定義する法案を可決。2026年7月からは州内で銀貨が売買税なしで使用可能になります。
テキサス州も同様の法案を準備しており、他州も追随する可能性があることから、実需+政策的な後押しが相乗効果を生んでいます。
銀投資の戦略:現物・ETF・鉱山株を組み合わせる「バーベル型アプローチ」
記事では、以下のような投資戦略が紹介されています。
- 物理的な銀の保有
アメリカのイーグル銀貨など、知名度のあるコインを安全な場所に保管。 - ETFと鉱山株を組み合わせる
- ETF(例:SLV, PSLV)で価格の波に乗る
- 鉱山株(例:ファースト・マジェスティック・シルバーパン・アメリカン・シルバー)でレバレッジ効果を狙う
*詳細は「後編」で。
まとめ:銀は金の影に隠れた「現代的な通貨資産」
金が「保管」される資産であるのに対し、銀は「働く」資産です。電子機器や再生可能エネルギー分野での需要、供給の制約、そして一部州での通貨的再評価が重なることで、銀は今後大きく評価され直す可能性があります。
「金に目を奪われているうちに、銀が駆け上がっていた」――そんな未来にならないよう、今こそ投資家はポートフォリオの中に「シルバーの余地」を考えてみるべきかもしれません。
*後編はこちら