2025年7月3日、エヌビディア(NVDA)の次世代AIチップ「ブラックウェル・ウルトラ(Blackwell Ultra)」が正式に商用化され、デル・テクノロジーズ(DELL)とクラウドGPUサービス大手のコアウィーブ(CRWV)による初のクラウド展開が発表されました。生成AIや大規模言語モデルの学習に最適化された次世代AIインフラとして、世界中のAI企業から注目を集めています。
GB300 NVL72:72基のGPUと36基のCPUを搭載した革新的サーバー
今回導入された「GB300 NVL72」は、72基のブラックウェル・ウルトラGPUと36基のArmベースGrace CPUを搭載したデル製の液冷サーバーで構成されています。従来のブラックウェル世代と同様の構造を保ちつつ、パフォーマンスは約50%向上。高負荷なAIワークロードへの対応力を大幅に高めています。
デル・インフラストラクチャー・ソリューションズ部門のアーサー・ルイス社長は「世界で初めてGB300 NVL72を出荷できたことは、エンタープライズAIにとって大きな節目であり、業界全体の技術革新を加速させる」と述べています。
ブラックウェル・ウルトラは「スムーズな進化」を実現
エヌビディアのCEOジェンスン・フアン氏は、従来のホッパーからブラックウェルへの移行が複雑であったのに対し、ブラックウェルからブラックウェル・ウルトラへの移行は同様の72基GPU構成のため、はるかにスムーズであると強調しました。
すでに一部の顧客には2025年5月からテスト出荷が行われており、今四半期中に本格的な量産出荷が始まると、CFOのコレット・クレス氏が説明しています。
デルとコアウィーブがAIインフラを主導、xAIも導入
デルは、コアウィーブやイーロン・マスク氏のAI企業「xAI」などを顧客に持ち、AI用コンピューティング基盤のリーダー企業としての地位を強化しています。コアウィーブの共同創業者ピーター・サランキ氏は、「我々はこの革新的なプラットフォームを大規模に運用する最初の企業として、次世代のAI開発者に提供できることを誇りに思う」とコメントしています。
今後の展望:AIインフラの進化は加速へ
ブラックウェル・ウルトラの本格展開により、生成AIや大規模モデルのトレーニングは新たなステージに突入するとみられています。コアウィーブは年内にかけて、デル製サーバーによる同構成のシステムをさらに拡張していく方針です。
2025年後半、ブラックウェル・ウルトラはAIインフラの中核技術として、企業の競争力強化を支える存在となることが期待されます。
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