アマゾン過去最長のプライムデー開始へ!関税と競合にどう挑む?

アマゾン・ドット・コム(AMZN)は、2025年7月8日から11日まで、過去最長となる4日間の「プライムデー」を開催します。今年のイベント拡大の背景には、関税の先行き不安や小売業界における競争の激化があります。

小売ライバルとの競争が激化

ウォルマート(WMT)、ターゲット(TGT)、TikTokなどが、独自のセールイベントを通じてアマゾンに対抗しています。「夏のブラックフライデー」とも呼ばれるこの時期、小売各社による大規模な割引合戦が展開されています。

アドビ・デジタル・インサイツのヴィヴェック・パンディヤ氏は、「価格だけでなく、買い物体験そのものの差別化が成功の鍵になる」と指摘しています。

関税リスクが消費行動に影響

今年のプライムデーが注目されるもう一つの理由は、トランプ政権による一部関税の猶予期間が7月9日に終了する点です。消費者が価格上昇を見越して、駆け込み購入に動く可能性があると見られています。

戦略分析会社レヴィオニクスのマット・パヴィッチ氏は、「こうした前倒しの購買行動が、企業の年間業績を下支えする可能性がある」とコメントしています。

AIと物流ネットワークを駆使した販売戦略

アマゾンは、食品、生活用品、学用品など数百万点におよぶ商品を割引対象とし、若年層(18〜24歳)向け特典や、ガソリン、旅行、グラブハブの配達割引、Prime Videoの特典も充実させています。開催対象国も過去最多の26か国に拡大されました。

最高経営責任者アンディ・ジャシー氏は、2025年第1四半期の決算説明会で「商品の地域配置を見直すことで、配送速度が大幅に改善された」と語っています。

AIショッピング体験「Rufus」導入

今年のプライムデーでは、生成AIを活用したショッピングアシスタント「Rufus」や、興味に応じた商品提案プロンプトが導入され、よりパーソナライズされた買い物体験が提供されます。これらの機能の一部はログインが必要であり、将来的なAIリテール展開の布石と見られています。

他社の対応とアマゾン株への影響

ベスト・バイ、REI、コールズ(KSS)、ダラー・ゼネラル(DG)なども、プライムデーに先駆けて積極的なセールを展開しています。ただし、アマゾンのように巨大な物流インフラやテクノロジー、メディア資産を持つ企業は稀です。

バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ジャスティン・ポスト氏は、今年のプライムデーがアマゾンの第3四半期における総取扱高(GMV)の約10%を占めると予測しています(前年は7%)。プライム会員の維持・拡大やブランド力の向上にはプラスとしつつも、割引の大幅な拡大が利益率に与える影響には注意が必要としています。

*過去記事はこちら アマゾン AMZN

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