ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)が展開する株式トークン化サービスと暗号資産戦略が、投資家や市場関係者から高く評価されています。特に欧州連合(EU)における200銘柄以上のトークン提供や、非上場企業へのアクセスの民主化といった一連の動きは、次世代の金融プラットフォームとしての地位を強固にしつつあります。
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株式トークン化の仕組みとは?CEOが語った詳細プロセス
ロビンフッドCEOのブラッド・テネフ氏は、株式トークン化の仕組みについて次のように説明しています。たとえば、EUのユーザーがアップル(AAPL)のトークンを購入した場合、注文は米国の証券会社に送られ、実際の株式が取得されます。取得された株式はロビンフッドの「トークン化エンジン」によって1対1でトークン化され、ユーザーに配信されます。売却時はその逆のプロセスで、トークンがバーン(焼却)され、実際の株が売却されて資金が戻る仕組みです。
非上場株式のトークン化がもたらす革命的意義
スペースXやオープンAIといった非上場企業の株式は、これまで機関投資家や富裕層の専有物でした。今回のロビンフッドの試みは、ブロックチェーン技術を用いてこうした資産へのアクセスを一般投資家にも開放しようとするものです。カンター・フィッツジェラルのアナリスト、ブレット・ノブロック氏は、「非公開株へのアクセスを民主化する動き」として高く評価しています。
また、同氏は「ロビンフッドは今後、株式トークン化の分野で最重要銘柄となるだろう」とし、同社株の目標株価を89ドルから100ドルへ引き上げました。
欧州での暗号資産サービス拡大も評価材料に
キーバンク・キャピタル・マーケッツは、株式トークン提供に加えて、EU全域およびアイスランド・リヒテンシュタイン・ノルウェーを含むEEA(欧州経済領域)での暗号資産取引拡大もロビンフッドのアドレス可能市場(TAM)を広げると分析しています。これを受け、同社の目標株価は60ドルから一気に110ドルへと引き上げられました。
アナリスト評価は強気多数、制度面の課題も
ロビンフッド株に対しては、ファクトセットによると24人中17人のアナリストが「オーバーウェイト」または「買い」を付けており、「中立」が6人、「売り」は1人にとどまっています。今後の期待値は高いものの、ノブロック氏は米国市場へのトークン化拡大には慎重な姿勢を示しており、「米国では規制上の枠組みが整っていないため、展開には時間がかかるだろう」とコメントしています。
今後の展望:トークン化は資本市場の構造を変えるか
今回の取り組みは、トークン化された株式の普及に向けた大きな一歩となる可能性があります。特に、非上場企業の株式を一般投資家が保有できる環境が整いつつあることは、資本市場の構造そのものに変革をもたらす動きといえます。
ロビンフッドのような新興金融プラットフォームが、テクノロジーと金融の融合を進める中で、投資家に新たな選択肢を提示し続けていることは、今後の市場進化を考えるうえでも重要な視点となりそうです。