ステーブルコイン発行で知られるサークル・インターネット・グループ(CRCL)が、米通貨監督庁(OCC)に対し「First National Digital Currency Bank, N.A.」という名称の全米信託銀行の設立申請を行ったと発表しました。
この新銀行は、同社が発行するドル連動型ステーブルコイン「USDC」の準備資産管理に加えて、機関投資家向けのデジタル資産保管サービスも提供する予定です。
Genius法案への対応とUSDCの信頼性向上を目指す
この動きは、2025年6月に米上院で進められた「Genius Act(ジーニアス法案)」への対応の一環とされています。この法案は、ステーブルコイン発行者に対して現金や米国債のような安全かつ流動性の高い資産を準備金として保有することを義務付ける内容です。
現在、サークルはバンク・オブ・ニューヨーク・メロンにて619億ドル相当の現金および米国債を保有しており、発行済みUSDC(616億ドル相当)とほぼ一致する規模の準備資産を維持しています。
サークルの最高経営責任者(CEO)であるジェレミー・アレール氏は、「国家信託銀行の認可を取得することで、USDCのインフラをより一層強固にし、ドル建てステーブルコインに関する米国の新たな規制枠組みに対応していきます」と述べました。
個人向けサービスは対象外、機関投資家特化の設計
今回の新銀行は、個人顧客を対象とせず、あくまで機関投資家向けの保管サービスに特化した設計となるようです。サークルの広報担当者がバロンズに語ったところによると、預金の受け入れや融資といった従来型の銀行業務は行わないとしています。これはOCCが定める一般的な国家信託銀行の要件にも合致しています。
上場後の株価も高ボラティリティを維持
2025年6月5日に上場したばかりのサークル株は、初期の取引で大きな値動きを示しており、7%未満の変動幅にとどまったのはわずか2営業日のみです。7月1日の米国市場では4.2%高の189ドルで取引されています(米国東部夏時間13:04現在)。
ステーブルコイン市場は今後、規制強化と制度整備が加速していくことが予想される中、サークルのこの一手は、市場における信頼性と法的整合性を強くアピールする動きと見られます。今後のUSDCの存在感と、機関投資家のデジタル資産管理市場への影響が注目されます。
*過去記事「ARKが大量売却!サークル株に利益確定の動きが加速」