2025年の米国株市場は完全に強気相場に突入しました。4月初旬にトランプ大統領の関税発表で一時的に下落したものの、その後は急速に回復し、S&P500は年初来で5%上昇して再び最高値を更新しています。
その中で、最も市場をけん引してきたのが「モメンタム株」です。
モメンタム株が市場をけん引
iシェアーズ・MSCI米国モメンタム・ファクターETF(MTUM)は、過去6~12ヶ月の間に上昇し、かつ3年間でボラティリティが低かった銘柄を中心に構成されています。このETFは、2025年に入りすでに15%上昇しており、S&P500を大きくアウトパフォームしています。
このETFに含まれる主な構成銘柄には、ブロードコム(AVGO)、メタ・プラットフォームズ(META)、ネットフリックス(NFLX)、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)、ビザ(V)が含まれており、いずれも数兆ドル規模の時価総額を誇ります。
ただし、こうしたモメンタム株に資金が集中する一方で、まだ市場全体には有望ながら出遅れている銘柄が数多く存在しています。
モメンタム優位の転換点が近づく
過去3年間で、モメンタムETFは76%上昇し、S&P500の62%を上回るパフォーマンスを記録しました。その差は14ポイントに達しており、これは過去3年で最大水準です。
ファクトセットのデータによると、こうした差が10ポイント台に達した際には、モメンタムETFが数日から数ヶ月にかけて下落する傾向があります。理由は単純で、人気銘柄の株価が長期的な業績期待をすでに織り込みすぎているためです。
このタイミングで注目されていない銘柄を狙うのは、有効な戦略といえます。
今注目すべき成長株5選
トライバリアント・リサーチのアダム・パーカー氏によると、成長株にフォーカスするファンドマネージャーの間では、直近で株価が軟調な銘柄の方が注目されているとのことです。その中でも以下の5銘柄が注目を集めています。
マーベル・テクノロジー(MRVL)
AI向けチップを手がける半導体企業で、アマゾン・ウェブ・サービスとの5年契約を含め、ビッグテックとの提携も多く抱えています。2025年は売上が前年比40%増の80億ドルに達する見込みで、2026年には97億ドルとさらに20%の成長が期待されています。
株価は年初来で32%下落しており、12ヶ月先予想PERは24.8倍まで低下しています。これは、年初の45倍を大きく下回り、iシェアーズ・半導体ETF(SOXX)とほぼ同水準です。
6月に予定されていた投資家向けイベントの延期や、データセンター事業の成長鈍化懸念が株価の重しとなりましたが、総合的には再評価の余地が大きいと考えられています。
ラティス・セミコンダクター(LSCC)
低消費電力FPGAを強みとする半導体企業で、AIエッジ領域での需要が高まっています。2025年に入って株価は調整局面にありますが、アナリストの評価は引き続き「買い」が優勢です。
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)
パンデミック特需後の調整を経て、企業向けプラットフォーム強化により収益構造が改善しています。PERはコロナ禍ピーク時の水準を大きく下回っており、見直しが進む可能性があります。
PDFソリューションズ(PDFS)
半導体のテストや製造プロセス向けソフトウェアを提供するニッチ企業です。AI導入によりチップの複雑性が増す中、同社の技術力が評価されています。
ルメンタム・ホールディングス(LITE)
光通信やレーザー技術で知られる企業で、低迷していた株価に対して、今後の業績回復を期待する声が強まっています。
成長ポテンシャルの再発見
こうした今は注目されていない銘柄は、モメンタム株が過熱しすぎたタイミングで資金が向かう傾向があります。特にマーベル・テクノロジーは、AI投資拡大の恩恵を受けるポジションにあり、アマゾン以外の新規顧客も獲得しています。
同社は、AI専用製品の総アドレス可能市場(TAM)を2028年に向けて940億ドルへと上方修正しました。これは従来予想の750億ドルを大きく上回る数字です。現在進行中の案件は50以上に達しており、長期的な成長への布石が着実に打たれています。
CFRAのアナリスト、アンジェロ・ジノ氏も「顧客ベースの拡大はアマゾン依存への懸念を軽減し、パイプラインの拡大がポジティブな長期的見通しを支えている」と述べています。
まとめ:次の主役を見つける
モメンタム株が上昇を続ける中、これまで見過ごされていた成長株に資金が向かう兆しも見え始めています。特に、AIや半導体といった成長テーマを持つ企業の中には、株価が割安水準にあるものも多く、2025年後半の注目対象になり得ます。
今こそ、次の成長セクターに目を向ける好機といえそうです。