2025年6月、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスは四半期リバランスを実施しましたが、構成銘柄の変更はありませんでした。これは2022年以来初めてのことで、投資家の間には驚きが広がりました。これを受けて、年内にS&P500へ新たに採用される可能性のある企業に注目が集まっています。
採用が有力視される5社
S&P500に新規採用されるには、基本的に時価総額が205億ドル以上であることが条件です。現在、この基準を満たしていながら未採用となっている有力候補は以下の5社です。
- アプラビン(APP)
- ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)
- カルバナ(CVNA)
- アレス・マネジメント(ARCC)
- シェニエール・エナジー(LNG)
このうちアプラビンとロビンフッドは、6月6日のリバランス発表前に「採用期待」で株価が上昇しましたが、実際に変更がなかったため、翌週月曜日にはアプラビンが8%下落するなど、失望売りが見られました。
金融・テクノロジー銘柄に追い風
S&P500におけるセクター構成を見ても、金融とテクノロジーの比率は市場全体と比べて低い水準にあります。KBWのアナリスト、シュレヤンク・ガンジ氏は、金融セクターからアレス・マネジメントやロビンフッド、テクノロジーセクターからアプラビンが採用される可能性は「中〜高」だと分析しています。
S&P400ミッドキャップからの昇格も鍵に
S&P500で構成銘柄が減る場合、その補充としてS&P400ミッドキャップ指数から昇格する企業が選ばれる傾向があります。現在、昇格要件を満たしているミッドキャップ企業は、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)とエムコア・グループ(EME)の2社のみです。そのため、今後はS&P400以外からの採用が進む可能性も高まっています。
特に、インタラクティブ・ブローカーズは時価総額で同指数内トップに位置しており、昇格候補として有力です。
マイクロストラテジーは不採用の可能性が高い
一方で、時価総額1,000億ドル超のマイクロストラテジー(MSTR)はS&P500への採用が難しいとみられています。主な理由は以下の2点です。
- 直近四半期で赤字を計上しており、S&P500の「直近4四半期および最新四半期の黒字」という採用条件を満たしていないこと。
- ビットコインが資産の95%以上を占めており、実質的に事業会社というよりも「クローズドエンドファンド」に近い構造であること。
仮に黒字であっても、こうした企業構造の特異性により、採用は見送られると見られています。
採用と入れ替えで除外される企業も
S&P500に新たに大型株が加わる場合、構成銘柄の中で時価総額の小さい企業が除外対象となる傾向があります。2025年前半に除外された4社はいずれも時価総額が70億ドル未満でした。
現在、S&P500で同規模の企業としては以下の5社が挙げられます。
- エンフェーズ・エナジー(ENPH)
- シーザーズ・エンターテインメント(CZR)
- モホーク・インダストリーズ(MHK)
- APA(APA)
- インベスコ(IVZ)
今後、大型株の採用に伴い、これらの企業が除外される可能性も視野に入れておく必要があります。
2025年後半、構成変更が加速する可能性
2025年にはすでに、ドアダッシュ(DASH)、ウィリアムズ・ソノマ(WSM)、コインベース・グローバル(COIN)、エクスパンド・エナジー(EXPX)、TKOホールディングス(TKO)の5社がS&P500に新規採用されました。これは、前年の通年16社と比べても堅調なペースです。
年内には、パラマウント・グローバル(PARA)やインターパブリック・グループ(IPG)など、7件のM&A案件が予定されており、構成銘柄の入れ替えがさらに進むと見込まれます。
ガンジ氏は、2025年後半には前半を上回る規模で構成変更が起きる可能性が高いと予測しています。アプラビンやロビンフッドなど、すでに投資家の注目を集めている企業がついにS&P500入りを果たすのか、今後の動向に注目です。