2025年6月30日、米国の金融サービス企業ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)の株価が12.8%超上昇し、6月だけで11回目となる過去最高値を記録しました。この急騰の背景には、欧州連合(EU)域内の顧客向けに米国株とETFのトークン提供を開始したことがあります。
欧州ユーザーに200以上のトークン化株式を提供
ロビンフッドはEUユーザーに対し、200以上の米国株とETFのトークンを提供すると発表しました。対象にはエヌビディア(NVDA)、マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)といった米国の代表的なテクノロジー企業が含まれています。
「株式トークン」とは、実際の株式の価格に連動したデジタル資産であり、ブロックチェーン技術を用いて取引されます。これにより、株式をより小口で分割して保有・売買できるようになるため、少額からの投資が可能になります。また、24時間取引やスマートコントラクトの活用といったメリットもあり、伝統的な証券市場とは異なる新たな投資スタイルを提供します。
さらに、スペースXとオープンAIという非上場企業のトークンも提供されます。これらは世界で最も注目を集めている民間企業であり、ロビンフッドのブロックチェーン技術により、分散型ネットワーク上で取引可能です。
オープンAIとスペースXのトークン化に注目
ロビンフッドのCEOであるブラッド・テネフ氏は、「EUのロビンフッドユーザーは、世界で最も価値のある2社の非上場株式トークンを保有できる」と発言しました。今回提供されるトークンはまずArbitrumという暗号資産の基盤技術上で発行され、将来的にはロビンフッド独自のブロックチェーンへと移行する予定です。
オープンAIは、生成AIブームの中心的存在として、2025年初めに3,000億ドルの企業価値で資金調達を行っています。スペースXに関しては、CEOのイーロン・マスク氏が将来的なスターリンクの上場の可能性についてコメントしたことから、市場の期待が高まっています。アーク・インベストは、スペースXの2030年までの企業価値を2.5兆ドルと予測しています。
年初来151%の上昇、暗号資産関連銘柄としても注目
ロビンフッドの株価は2025年に入ってから151%上昇しており、S&P500指数(SPX)の5.1%上昇やビットコインの14.7%上昇を大きく上回っています。暗号資産に対して好意的なトランプ大統領の政策も、同社株の追い風となっています。
同業であるコインベース・グローバル(COIN)やマイクロストラテジー(MSTR)も同様に恩恵を受けており、暗号資産市場との結び付きが強い企業群への投資関心が高まっています。
なお、ロビンフッドの株式トークンは手数料やスプレッドがかからないとされており、欧州ユーザーにとって利便性の高い商品となっています。ただし、他の手数料が発生する場合がある点には注意が必要です。
今後の注目ポイント
今回の取り組みは、トークン化された株式の普及に向けた大きな一歩となる可能性があります。特に、非上場企業の株式を一般投資家が保有できる環境が整いつつあることは、資本市場の構造に変革をもたらす動きといえます。
ロビンフッドのような新興金融プラットフォームが、テクノロジーと金融の融合を進める中で、投資家に新たな選択肢を提示し続けています。
*過去記事「個人投資家の存在感が拡大、ロビンフッド株が注目される理由」