オープンAIが業務向けアプリ市場でマイクロソフトとアルファベットに挑戦

生成AIのリーダーであるオープンAIは、ChatGPTに文書作成や複数ユーザーによるコラボレーション機能を追加する計画を進めています。この動きは、マイクロソフト(MSFT)やアルファベット(GOOGL)といった大手企業と正面から競合することを意味し、特に業務向けアプリ市場での存在感を高める狙いがあります。

文書作成や共同作業機能で業務活用が進む可能性

オープンAIは1年以上前から、ChatGPTに文書共有やリアルタイム共同編集の機能を導入する構想を練ってきました。第一歩として、2024年10月に「Canvas(キャンバス)」をリリース。これは、AIと一緒に文書やコードを簡単に作成できる機能で、今後のコラボレーション機能の基盤となる可能性があります。

さらに、複数のユーザーがChatGPT上でやり取りしながら共同作業できる機能も開発済みとされており、プロジェクト管理やコードレビューなど、チーム業務での活用も見込まれています。

「超賢いパーソナルアシスタント」を目指すオープンAIの戦略

オープンAIの最高経営責任者サム・アルトマン氏は、ChatGPTを「仕事用の超賢いパーソナルアシスタント」に進化させる方針を打ち出しています。このビジョンの一環として、ChatGPT内で使えるWebブラウザ、ファイル共有機能、さらにはソーシャルメディアのような投稿共有機能も開発が進められています。

こうした動きは、マイクロソフトやアルファベットが提供するオフィス製品との直接競合につながります。現在、多くの企業は業務効率を目的として、AIアシスタント機能を含む「Office」や「Google Workspace」といったパッケージ製品を導入しています。

マイクロソフトとの微妙な関係に影響も

オープンAIとマイクロソフトは、AIアシスタントやコーディング支援、APIベースのAI提供などで競合しつつも、ビジネスパートナーでもあります。マイクロソフトは巨額の出資を通じて、クラウドサービス「Azure」上でChatGPTを提供しています。

しかし、今回のようなオフィス系機能への進出は、マイクロソフトの主力製品である「Office」や「Copilot」に対する明確な挑戦とも言えます。両社の関係は、オープンAIの営利部門の再編計画を巡る交渉なども絡み、ますます複雑化しています。

企業向け契約が成長ドライバーに

オープンAIはここ最近、企業向けのChatGPT利用が増加していると発表しています。モデルナ(MRNA)やTモバイル(TMUS)などが導入企業として挙げられており、さらに競合製品との差別化を図るために法人契約の割引も実施しています。

2024年の売上は約6億ドルとされていますが、2030年にはChatGPTの法人利用によって150億ドルの売上を目指す計画です。これは、業務向けAI市場で本格的な地位を築こうとする意思の表れといえます。

基本機能の整備が今後の鍵

オープンAIは最近、Canvasを活用した音声通話や会議記録機能も導入しました。しかし、現時点ではファイル保存やカレンダー管理といった基本的な業務機能が不足しており、本格的なビジネスツールとしてはまだ発展途上です。

こうした基本機能が今後整えば、ChatGPTは単なる生成AIチャットボットではなく、企業向けの統合型ワークスペースとしての地位を築く可能性があります。


オープンAIは、「第3の生産性スイート」を目指し、エンタープライズ市場での存在感を強めようとしています。マイクロソフトやアルファベットとの競争は、今後ますます激しさを増していくと考えられます。

*過去記事「エヌビディアの牙城が揺らぐ?オープンAIのTPU導入で変わるAIインフラ

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