アルファベット株に明暗、AI投資は追い風か逆風か

2025年、アルファベット(GOOGL)の株価は、生成AI分野における競争激化を背景に、不安定な動きを見せています。グーグルを擁する同社は、AI分野での積極的な投資を進める一方で、ライバル企業の台頭や規制当局の動向といった逆風にも直面しています。AIへの投資が今後の成長を牽引するのか、それとも足かせとなるのか、市場の注目が集まっています。

シティズンズJMPが格上げ

6月27日、米証券会社シティズンズJMPのアナリスト、アンドリュー・ブーン氏は、アルファベット株の投資判断を「マーケット・パフォーム」から「アウトパフォーム」に引き上げ、目標株価を220ドルとしました。これは、同日の終値178.53ドルに対して23%の上昇余地がある水準です。

ブーン氏は、オープンAIによる競争の影響は今のところ限定的と指摘。ChatGPTの週間アクティブユーザーが約8億人であるのに対し、グーグルのユーザーは約50億人に上るとされ、検索結果を要約する「AIオーバービューズ」などの新機能が検索クエリ数を押し上げる可能性があると分析しています。

また、広告領域では「スマート入札エクスプロレーション」や「AI Max for Search Campaigns」など、AIを活用したツールが収益性を高める鍵になるとも述べています。

アップルの動向はリスク要因に

一方で、ブーン氏はアップル(AAPL)の動向をアルファベットにとって最大のリスク要因と指摘。アップルの上級副社長エディ・キュー氏は連邦裁判所で、「アップル端末でのグーグル検索数が2025年4月に前年同月比で初めて減少した」と証言しており、その背景にはChatGPTなどの代替ツールの利用拡大があると見られています。

さらに、2024年には米連邦地裁が「アルファベットはオープンウェブのデジタル広告市場で独占的地位を乱用した」との判決を下しており、現在はその救済措置に関する審理が進行中です。アップルとの検索契約に制限が課されれば、アルファベットにとって重要な流入経路を失うリスクもあります。

BNPパリバ・エクサンは格下げ

対照的な見方を示したのが、BNPパリバ・エクサンのアナリスト、ステファン・スロウィンスキー氏です。同氏はアルファベット株の投資判断を「アウトパフォーム」から「ニュートラル」に引き下げ、目標株価を172ドルとしました。

その理由として、同氏はハイパースケーラー各社による設備投資の急増が収益性を圧迫する可能性を挙げています。アルファベットは2025年の設備投資額を750億ドルと見積もっており、その多くがAI向けデータセンターの拡張に充てられる予定です。

アマゾン(AMZN)、メタ・プラットフォームズ(META)、マイクロソフト(MSFT)といった競合企業も同様に投資を加速させており、今後は減価償却費の売上比率が現在の6%から2030年には18%まで上昇すると予測されています。

強気派がなお多数派

このように見方が分かれる中でも、ウォール街では依然としてアルファベット株に対する強気の姿勢が優勢です。ファクトセットによると、同社をカバーする72人のアナリストのうち60人が「買い」または同等評価を付けており、「売り」と評価しているアナリストは1人もいません。

AI時代の勝者となれるかがカギ

AIの進化は、検索や広告といったアルファベットの中核事業のあり方を根本から変えようとしています。同社がこの変化をチャンスとして成長を遂げるのか、それとも法的・競争的課題に苦しむのか。今後の動向が、AI時代の勝者となるかどうかを左右する重要なポイントとなります。

*過去記事「Google検索の終焉?生成AIが変えるネットの勢力図

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