人工知能(AI)ブームの中心に立つエヌビディア(NVDA)とマイクロソフト(MSFT)が、世界時価総額1位の座をめぐって熾烈な争いを繰り広げています。2024年には両社ともに時価総額3兆ドルを突破し、いよいよ次の節目である4兆ドルが目前に迫っています。
6月26日、エヌビディアは4営業日連続で株価を上げ、終値は155.02ドルに到達。時価総額は3.782兆ドルに達し、マイクロソフトの3.697兆ドルを上回りました。
ウェドブッシュ予測:「この夏、両社は4兆ドルに到達」
米証券会社ウェドブッシュは、最新のリサーチノートで「エヌビディアとマイクロソフトは、2025年夏にも時価総額4兆ドルを突破する」と予測しています。さらに、今後18カ月間で注目は5兆ドル達成に移っていくとしています。
同社は両社を「AI革命の象徴」と位置づけ、現在進行中の技術革新は「過去40年で最大のテクノロジー転換」とも表現しています。
エヌビディア:AI時代の中核を担うチップメーカー
エヌビディアの株価上昇は、生成AIへの関心の高まりを象徴しています。2022年末にChatGPTが登場して以降、同社のGPU(グラフィックス処理装置)はAI技術を支える基盤として広く採用されてきました。
特にハイパースケーラー企業からの需要が集中しており、マイクロソフトをはじめとする主要クラウド事業者にとって、エヌビディアは事実上“唯一の選択肢”となっています。
ウェドブッシュは「エヌビディアのチップは、今や“新しい金や石油”と同じくらい価値のある存在」と評価。CEOのジェンスン・ファン氏は、企業のAI需要全体を俯瞰できる最も重要な立場にあるとしています。
マイクロソフト:クラウドとAIで再定義される企業像
一方のマイクロソフトは、WindowsやOfficeに代表される伝統的なソフトウェア企業から、AIとクラウドを中核とする企業へと大きく転換しています。
同社のクラウドプラットフォーム「Azure」は、AIアプリケーションの開発・運用に不可欠なツールを提供しており、開発者や企業から高い支持を得ています。クラウド分野では、アルファベットやアマゾン・ドット・コムと並ぶハイパースケーラーとしての地位を確立しています。
AIは極めて高い演算処理能力を必要とするため、今後もクラウドへの需要は増え続けると見込まれます。
次の主役はアマゾンとアルファベット?
ウェドブッシュは、アマゾン・ドット・コム(AMZN)のAWSやアルファベット(GOOGL)のGoogle Cloudにも注目しています。これらの企業は、AI対応チップを積極的に導入し、AI機能を備えた新サービスを自社の顧客基盤に展開していくと予想されています。
AIが日常やビジネスのあらゆる分野に浸透していく中で、どの企業がその波に乗り切るかが今後の競争の鍵となりそうです。
最新株価とアナリスト評価
2025年6月27日の米国市場で、エヌビディアの株価は157.2ドルと前日比1.37%上昇しています(米国東部夏時間14:11現在)。ウェドブッシュは同社に対して「アウトパフォーム」と評価し、目標株価を175ドルとしています。
マイクロソフトは497.6ドルで横ばいとなっていますが、同様に「アウトパフォーム」評価で、目標株価は600ドルとされています。
なお、ウェドブッシュは今月、エヌビディアやマイクロソフトを含む“マグニフィセント・セブン”銘柄を組み入れたETF「Dan Ives Wedbush AI Revolution ETF(IVES)」を新たに上場しています。