2025年に入ってからの米国テック株の動きは、まさにジェットコースターのようです。2月には過去最高値を記録したものの、トランプ政権による関税発動をきっかけに、S&P 500情報技術セクター指数は4月初旬にかけて急落。しかし、わずか2か月ほどでこの下落分を帳消しにし、6月末には過去最高値を再び更新しました。
米投資情報誌のバロンズは、6月26日付の記事でこの異例の回復劇と、その背景にあるファンダメンタルズの強さを取り上げています。以下にそのポイントを紹介します。
急落から急回復へ──背景にある3つの要因
記事では、4月からの40%超の反発を「テック株は谷底からエベレスト級の高みへ戻った」と表現。では、なぜこれほどの回復が実現したのでしょうか?主な要因は以下の3点です。
1. AI導入を追い風とする業績の急成長
生成AIの普及が続く中、多くの企業がAIを活用した業務効率化や製品開発を加速しています。その恩恵を最も受けているのが、半導体やクラウド関連を中心とするテック企業です。アナリスト予想では、今後数年間にわたりテック企業の利益は2桁成長が続くと見られています。
2. 関税リスクの後退
4月に発動された関税措置は市場に一時的な混乱をもたらしましたが、その後一部が撤回され、貿易交渉も進展。これにより、サプライチェーンの混乱リスクが和らぎ、特に半導体や電子機器メーカーにとってはポジティブな環境が整いつつあります。
3. インフレ鈍化と利下げ期待
インフレが抑制されていることにより、米連邦準備制度(FRB)は年内の利下げを検討できる余地が生まれています。これにより、株式市場全体、とりわけ金利に敏感なグロース株にとって追い風となっています。
52日間で最高値更新──1年後の高リターンへの期待
バロンズは、SentimenTraderのデータを引用し、「年初来安値から52営業日で高値を更新したのは史上2番目の速さ」であると指摘。このようなケースの多くで、1年後のリターンは平均で+18.5%という好パフォーマンスを記録しているとのことです。
リスクも残るが、今は“追い風”の時間帯
もちろん、トランプ政権の政策変更、企業による価格転嫁、再燃するインフレなど、リスク要因も完全には払拭されていません。しかし、現時点では「大きな構造的ダメージではなかった」と市場が判断していることが、今回の急反発を後押ししているようです。
今こそテック株を見直す好機か
この記事を通じてバロンズは、「いま起きているテック株の上昇は幻想ではなく、根拠のあるものだ」と主張しています。急激な調整のあとの急反発──過去の相場でも見られたこのパターンは、今回も繰り返される可能性が高いと考えられているのです。
今後の市場動向を見極めるうえで、テック株の動きからは目が離せません。