2025年6月26日の米国市場で、エヌビディア(NVDA)の株価は0.5%上昇し、終値は155.02ドルとなりました。前日には154ドルを超える過去最高値を記録しており、その勢いを維持しています。ウォール街では、生成AI需要の拡大を背景に、エヌビディア株への強気な見方が一段と高まっています。
ループキャピタルが目標株価を250ドルに引き上げ
米調査会社ループキャピタルのアナリスト、アナンダ・バルア氏は、エヌビディアの目標株価を従来の水準から250ドルに引き上げました。これは、Yahoo Financeに掲載されているアナリストの中で最も高い目標値です。この見立てが実現すれば、同社の時価総額は6兆ドルに達する可能性があります。
バルア氏は、AIチップ市場が2028年までに2兆ドル規模に拡大すると予測しており、エヌビディアがその最前線に位置していると述べました。同氏は「私たちは次なる“黄金の波”の入り口に立っており、エヌビディアはその中心にいる」と語っています。
この予測の背景には、各国政府からの需要、米ビッグテック企業(いわゆる“ハイパースケーラー”)による大型投資、そして同社の最新AIチップ「Blackwell(ブラックウェル)」の供給開始があります。
また、バルア氏は「エヌビディアは事実上、重要技術における独占企業であり、価格決定力と高い利益率を維持できる立場にある」と述べています。
バンク・オブ・アメリカもエヌビディアに強気姿勢
バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ビベック・アーリヤ氏も、エヌビディアを「最大の受益企業」と位置づけています。アーリヤ氏の試算によると、AIチップ市場は2025年の2,010億ドルから2030年には6,500億ドルに成長するとのことです。
同氏は、エヌビディアが依然として他の新規参入企業を大きくリードしていると強調しています。
マイクロンの好決算も追い風に
エヌビディアにAI向けメモリチップを供給するマイクロン・テクノロジー(MU)は、2025年第3四半期決算でアナリスト予想を上回る結果を発表しました。マイクロンの経営陣は、AIデータセンター向けの需要増加が業績をけん引していると述べており、これもエヌビディアにとっては好材料となっています。
中国への輸出禁止と中東との新たな取引
2025年1月には、中国企業ディープシークがコストパフォーマンスに優れたAIモデルを発表し、市場では「エヌビディアの優位性が揺らぐのでは」との懸念が広がりました。この報道を受けて、エヌビディア株は一時急落しました。
また、トランプ大統領による対中貿易政策の一環として、同社のAIチップの中国向け輸出が禁止されたことも、株価の重しとなっていました。
しかし、5月末に発表されたエヌビディアの第1四半期決算では、売上が市場予想を上回り、中国向け販売減少の影響を他地域での需要が補っていることが明らかとなりました。特に中東との新たな取引が市場の信頼を回復させ、株価の反発につながっています。
今後の注目点
エヌビディアは、AIインフラの中心的企業として、市場での独占的地位を確保し続けています。各国政府やビッグテックの投資が継続する限り、同社の業績はさらに拡大する余地があります。一方で、中国リスクや競争激化には引き続き注意が必要です。
生成AIの“黄金の波”の真っただ中で、エヌビディアがどこまで成長を遂げるのか。今後の動向から目が離せません。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA