2025年6月26日、人工知能(AI)関連株として注目を集めるコアウィーブ(CRWV)が、ビットコインマイニング大手からAIクラウド企業へと転身を図るコア・サイエンティフィック(CORZ)の買収を再び模索していると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが報じました。
この報道を受けて、コア・サイエンティフィックの株価は急騰。26日の米国市場の終値は33%高の16.36ドルとなりました。
両社の出自は「暗号資産」だった
コアウィーブとコア・サイエンティフィックは、いずれも暗号資産のマイニング用データセンターとしてスタートしました。コアウィーブは2018年の仮想通貨クラッシュを受け、AIクラウドサーバー事業へと軸足を移し、わずか2年で売上を1600万ドル(2022年)から19億ドル(2024年)へと急成長させました。
2025年3月にナスダック市場に上場した同社の株価は、すでに299%上昇しています。
コア・サイエンティフィックもAIクラウドへ本格参入
一方、コア・サイエンティフィックも暗号資産マイニング事業からAIクラウドサービスへの転換を図っており、今回の報道はその動きをさらに後押しする形となっています。
AI向けクラウドインフラの供給が限られる中、コアウィーブは2024年にもコア・サイエンティフィックとの提携を模索しており、その理由は変わっていません。需要過多の状況が続くAIクラウド市場において、迅速な容量拡大を目指しているのです。
エヌビディアとの深い関係が成長を支える
コアウィーブはAIクラウドに特化した「純粋プレイ企業」として、エヌビディア(NVDA)のAIサーバーのみを提供するユニークなビジネスモデルを展開しています。エヌビディアは同社の主要なサプライヤーであるだけでなく、顧客でもあり、さらに株式の7%を保有する株主でもあります。
ただし、現時点では売上の大部分(2025年第1四半期で72%)がマイクロソフト(MSFT)との取引に依存しています。しかし、グーグルやオープンAIとの新たな契約によって、この依存度は今後低下する見通しです。
供給能力拡大に向けた買収の意義
AI需要の拡大に対応するには、大量のGPUサーバーインフラが必要です。コアウィーブにとって、コア・サイエンティフィックの取得は、設備の早期拡充という大きなメリットがあります。実現すれば、グーグルやオープンAIといった新規顧客に対する供給体制強化にもつながるでしょう。
現在のところ、両社ともにコメントを控えており、正式な買収提案には至っていない模様です。しかし、AIインフラの需要過多が続く限り、このような企業再編の動きは今後も注目を集めそうです。