人工知能(AI)関連のインフラ投資が今後の産業成長を大きく後押しするとの見方が強まっています。米調査会社ニューストリートのアナリスト、ピエール・フェラグ氏は、AIインフラへの年間支出が数千億ドル規模に達している現状を踏まえ、これが今後の収益成長に繋がるとの楽観的な見通しを示しました。
主要テック企業の設備投資、2035年には1.7兆ドルへ拡大か
フェラグ氏の試算によると、データセンター技術で業界をリードする4社──アルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、メタ・プラットフォームズ(META)、マイクロソフト(MSFT)──の合計設備投資は、2024年の2,530億ドルから2035年には1.7兆ドルに増加する見通しです。
同氏はマイクロソフトのクラウドサービス「Azure」やTSMC(TSM)が過去にクラウドや半導体装置に早期投資したことが、その後の売上成長につながったと指摘。AIインフラにおいても同様の展開が期待されるとしています。
「設備投資は成長の源泉」──生産性と利益率向上にも寄与
「良質なビジネスにおいては、設備投資の拡大は売上増加につながる傾向がある」とフェラグ氏は述べています。より多くの資本を投じることが、成長、生産性の向上、利益率の拡大に寄与するという考えです。
AIはまだ初期段階、ChatGPTの普及余地に注目
同氏は、AIの発展はまだ始まったばかりだと見ています。具体例として、ChatGPTの利用者が約6億人にとどまっている一方で、インターネット利用者全体は55億人に達すると推定。さらに、ChatGPTの1日あたり平均利用時間は18分であるのに対し、世界の平均スクリーンタイムは400分に上ることから、今後の成長余地が非常に大きいと指摘しています。
インフラ需要は供給能力を上回る状況が継続
フェラグ氏は「AIインフラ需要は継続的に供給能力を超えている」と述べ、今後もインフラの拡充が求められるとの見方を示しています。また、AIの計算コストが低下すれば、新たなイノベーションやアプリケーションが次々と生まれる可能性があり、これはマイクロプロセッサが登場した時と似たような状況だと述べています。
最大の恩恵を受けるのはエヌビディア
AIインフラ拡充の最大の受益者となっているのが、GPU開発を手がけるエヌビディア(NVDA)です。同社はAI処理に特化した半導体需要の急増を背景に、業績も大きく拡大しています。こうした動きは、今後のAI関連市場が本格的な成長フェーズに入ることを示唆しています。