海底鉱山スタートアップ「TMCザ・メタルズ」株が急騰中!米大統領令が追い風に

海底鉱山のスタートアップ企業、TMCザ・メタルズ(TMC)の株価が急騰しています。2025年6月25日には、米大手証券会社ウェドブッシュの著名アナリスト、ダン・アイブス氏が同社株を「ホールド」から「買い」へと格上げし、目標株価も6ドルから11ドルへ引き上げました。

アイブス氏はレポートの中で「複数の追い風が成長のタイムラインを加速させている」と述べており、投資家の注目が一気に集まっています。

トランプ大統領令が商業生産への道を切り開く

2025年4月、トランプ大統領はTMCに対して、国連国際海底機関(ISA)を通さずに太平洋のクラリオン・クリッパートン帯(CCZ)での商業生産を許可する大統領令に署名しました。

このCCZはハワイとメキシコの間に位置する海底に広がる地域で、高濃度のニッケルやコバルトなどを含む「ノジュール(小石状の塊)」が豊富に存在しています。従来の鉱山とは異なり、地上の採掘作業を伴わず、海底から直接資源を吸い上げる方式が特徴です。

ノジュール採取の新技術に注目集まる

TMCの技術は、海底に自然に形成されたノジュールを、巨大な掃除機のような装置で吸引・回収するものです。採取されたノジュールは専用船に積み込まれ、1回の航行で約3万トンの資源を輸送可能とされています。

同社CEOジェラード・バロン氏によると、CCZにはレアアース(金属元素)も豊富に存在しますが、まずはニッケルなどの主要金属に集中するとしています。

対中国依存からの脱却、米国のサプライチェーン独立を後押し

中国がレアアースの輸出規制を示唆する中、米国ではサプライチェーンの自立に向けた取り組みが加速しています。アイブス氏は「TMCは米国の資源供給における戦略的パートナーとなる」と評価し、地政学的リスクへの対応力にも注目が集まっています。

現在、世界のレアアースの約8割は中国で精製されており、電気自動車のモーターやスマートフォンなど多くのハイテク製品に不可欠な存在です。

株価は1週間で30%、1か月で70%の上昇

TMCの株価は2025年6月25日、米国市場において一時7.70ドルまで上昇しました(米東部夏時間14:30時点)。この1週間で約30%、1か月では70%近い上昇を記録しています。

ファクトセットによれば、TMCをカバーする5人のアナリスト全員が「買い」評価を出しており、平均目標株価は8ドルとされています。

実売上は未計上ながら、時価総額は30億ドル規模に

TMCは現在、まだ本格的な売上を計上していませんが、2027年には商業生産の開始を予定しています。投資家の期待は高く、時価総額はすでに約30億ドルに達しています。

政治、貿易、そしてウォール街の動きが複雑に絡み合い、TMCザ・メタルズをめぐる注目は今後も続きそうです。

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