2025年の年初、エヌビディア(NVDA)の株価は中国の新興AI企業「ディープシーク」による革新的な大規模言語モデルの登場や、トランプ大統領による新たな関税政策の影響を受け、大きく下落しました。4月には、年初来で37%も下落し、株価は94.21ドルまで落ち込みました。
しかしその後、エヌビディア株は驚異的な回復を見せ、6月25日には4%を超える上昇を記録し、終値154.31ドルで過去最高値を更新しました。
エヌビディア、3日連続の株価上昇で記録更新
エヌビディア株はこれで3営業日連続の上昇となり、1月に記録した149.43ドルの過去最高終値を上回りました。同日、エヌビディアはマイクロソフト(MSFT)を抜いて、時価総額で世界最大の上場企業となりました。終値ベースでの時価総額は3.76兆ドルとなり、マイクロソフトの3.66兆ドルを上回りました。
今年4月の安値から比較すると、エヌビディアの時価総額は約1.42兆ドルも増加した計算になります。
バークレイズは目標株価を200ドルに引き上げ
今月初め、イギリスの大手証券会社バークレイズは、エヌビディアの目標株価を200ドルに引き上げました。その理由として、同社の次世代AIチップ「ブラックウェル(Blackwell)」プラットフォームの拡大が順調に進んでいる点を挙げています。
バークレイズは、「当社がカバーする銘柄の中で、最も上昇余地がある」とコメントし、サプライチェーンからもポジティブな見通しが得られているとしています。また、ブラックウェルの供給状況が健全であることから、タスクを人間の介入なしでこなす「AIエージェント」の需要拡大と合致しているとも分析しています。
この目標株価が達成された場合、エヌビディアの時価総額は4.9兆ドルに達し、株価はさらに38%上昇すると予想されています。
中国向け輸出規制の影響を打ち消す強力な需要
バーンスタイン・リサーチも今月初旬に発表したレポートで、エヌビディアを含む大手半導体銘柄は、AI需要の高まりに応じた大規模な設備投資や、各国のAI開発の進展によって、今後も上昇が見込まれると指摘しました。
同社のレポートでは、エヌビディアが中国への特別設計チップ「H20」の輸出を制限されたことで80億ドルの売上を失ったとしながらも、AIチップに対する顧客の支出がその影響を打ち消していると説明しています。規制が緩和されたり、新たな代替ルートが確立された場合には、むしろ上振れ要因になる可能性があるとしています。
ブラックウェル・ウルトラでさらなる成長を見込む
2025年後半には、次世代チップ「ブラックウェル・ウルトラ」の投入と、既存ブラックウェルチップの出荷量増加が予定されています。これにより、同社の利益率はさらに改善する見込みです。
エヌビディアは2025年5月の第1四半期決算で調整後の売上総利益率を61%と報告しましたが、年後半にはこれを70%台半ばまで引き上げることを目標としています。
まとめ:AI分野の主導権を握るエヌビディアの未来に注目
2025年初頭の逆風を乗り越えたエヌビディアは、AIチップ市場のリーダーとしての地位をさらに強固にしつつあります。ブラックウェル・プラットフォームの拡充、堅調な顧客需要、そしてマクロ的なAI投資の追い風を背景に、同社株は引き続き注目される存在となっています。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA