2025年、人工知能(AI)市場で注目を集めるのは、エヌビディア(NVDA)だけではありません。マイクロソフト(MSFT)がAI収益化の「次のフェーズ」に入ったとして、ウェドブッシュが強気の見方を示しています。
AzureがAIで成長加速、クラウド売上が33%増加
マイクロソフトの2025年度第3四半期決算では、クラウドサービス「Azure(アジュール)」の売上が前年同期比33%増と急伸しました。AI機能を組み込んだAzureの導入が進んでいることが主な要因です。
ウェドブッシュのアナリストは、「これはマイクロソフトにとってAIによる成長の転換点」と分析しています。クラウド分野でのAI活用が売上構造を大きく変えつつあると見られています。
株価目標を600ドルに引き上げ
ウェドブッシュは6月25日、マイクロソフト株の投資判断を「アウトパフォーム」で維持しつつ、目標株価を従来の515ドルから600ドルに引き上げました。これは、AI分野における顧客需要が強く、企業の導入ペースが加速しているという調査結果を反映したものです。
実際、25日の米国市場で同社の株価は一時494ドルまで上昇しており、S&P500指数やナスダック総合指数を上回るパフォーマンスを見せています。
800億ドル規模のデータセンター投資も推進
マイクロソフトは年初に、AIモデルの学習やクラウドアプリケーション展開を目的に、今後数年間で800億ドルをデータセンターに投資すると発表しました。インフラ整備を通じてAI競争で優位に立つ戦略です。
ただし、一部ではインフラ整備のペースが早すぎるとの懸念も出ていました。TDカウエンによると、一部のデータセンターリース契約をキャンセルしているとされ、同社も「地域によっては戦略的に調整を行う」と説明していました。
それでも直近の決算発表では、マイクロソフトは自らを「AIを搭載したプラットフォームとツールの創造者」と再定義しており、AIへの本格シフトを明確にしています。
企業向けAI分野で「圧倒的リーダー」
ウェドブッシュは、マイクロソフトがアマゾン・ドット・コム(AMZN)やグーグルの親会社アルファベット(GOOGL)との競争を制し、「企業向けAIの圧倒的なリーダー」と評価しています。
特に、Azureに組み込まれたAI機能が他社との差別化要因になっており、多くの企業がAI予算を拡大する中で、マイクロソフトの成長に拍車がかかると予想されています。
「マイクロソフトはAI収益化の次なる段階に突入しており、より多くの企業が戦略的なAI投資を加速させている」とウェドブッシュは指摘します。一方、ウォール街全体では、この成長ストーリーがまだ十分に評価されていないとも警告しています。
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