2025年6月25日、マイクロン・テクノロジー(MU)は2025年度第3四半期(5月期)の決算を発表し、売上・利益ともに市場予想を上回る好調な結果となりました。人工知能(AI)需要の高まりにより、高帯域幅メモリ(HBM)の販売が急増し、同社の業績を力強く押し上げています。
売上は93億ドルで過去最高、DRAMとデータセンター向けが牽引
発表によると、マイクロンの第3四半期の売上は前年比37%増の93億ドルに達し、ファクトセット調べの市場予想の89億ドルを上回りました。調整後1株当たり利益は1.91ドルで、予想の1.60ドルを上回る結果となっています。
売上の主な原動力は、DRAM(動的ランダムアクセスメモリ)製品であり、なかでもHBMの売上は前四半期比で約50%の増加を記録しました。同社はHBM市場でリーダー的な地位を確立しています。
また、データセンター向けの売上は前年同期比で2倍以上に増加し、消費者向け市場でも堅調な成長が見られました。
粗利率は市場予想を上回り、今後の見通しも良好
同四半期の調整後粗利率は39%となり、市場予想の36.7%を上回りました。さらに、2025年第4四半期(8月期)の粗利率については「42%±1%」との見通しを示しています。
この点について、米国みずほ証券のアナリストであるジョーダン・クライン氏は、投資家が注目しているのは粗利率の改善幅であると指摘しており、今回の結果は期待に応えるものであったと評価されています。
AI需要拡大でメモリ関連株に強気ムード
マイクロンの株価は、6月のS&P500指数構成銘柄の中でも上位のパフォーマンスを示しており、投資家の間では同社を含むメモリチップ・ハードディスク関連銘柄に対する強気姿勢が強まっています。
今回の決算発表を受けて、マイクロン株は時間外取引で一時3.6%上昇しました。
第4四半期はさらに上振れの可能性、AI関連投資が後押し
マイクロンは第4四半期の売上を107億ドル±3億ドル、調整後1株当たり利益を2.50ドル±0.15ドルと予想しています。AI関連のメモリ需要が今後も加速する中、同社の成長見通しは明るく、引き続き注目が集まっています。
同社のCEOであるサンジェイ・メロトラ氏は、「2025年度は記録的な売上と堅調な利益、フリーキャッシュフローを達成する見込みであり、技術力と製造力の強化を通じてAI主導の需要に応えていく」と述べています。
エヌビディアとの連携でさらなる成長も期待
AI関連市場の成長をけん引しているエヌビディア(NVDA)との連携も、マイクロンの成長ストーリーにおいて重要な要素です。エヌビディアは、HBMを搭載した次世代GPUを開発しており、そのパートナーとしてマイクロンの存在感が高まっています。
*過去記事「マイクロン、予想を上回る決算も株価は下落」