無人防衛技術を手がけるエアロバイロンメント(AVAV)の株価が急騰しています。2025年6月24日に発表された2025年度第4四半期決算は市場予想を大きく上回る好内容で、25日の米国市場で株価は22.15%高の236.09ドルで取引されています(米国東部夏時間15:07現在)。
売上・利益ともに過去最高、成長の勢いを証明
同社は第4四半期に調整後1株当たり利益(EPS)1.61ドルを計上し、前年同期の0.43ドルから大幅に増加しました。売上も前年同期比40%増の2億7,510万ドルと、市場予想の2億4,150万ドルを大きく上回る結果となりました。
通期では売上が前年比14%増の8億2,060万ドルに達し、受注残も7億2,660万ドルと、前年の4億20万ドルから急増しています。
CEOのワヒード・ナワビ氏はプレスリリースで、「第4四半期は記録的な売上、大幅な利益成長、そして受注残の拡大により締めくくられました。これは、多世代型無人システムやホバリング型兵器に継続して投資してきた成果と、我々の実行力の証です」と述べました。
2026年度は売上20億ドルを視野に、買収効果にも期待
エアロバイロンメントは、2026年度の売上を19億〜20億ドル、EBITDA(利払い・税金・減価償却前利益)を3億〜3億2,000万ドルと予想しています。この見通しには、2025年5月に完了したブルーヘイローの買収効果も含まれています。ブルーヘイローは宇宙および防衛分野の無人技術を提供する企業です。
一方で、市場のコンセンサス予想は売上20億ドル、EBITDAは2億8,700万ドルとされており、一部アナリストの間ではやや慎重な見方もあります。
アナリスト評価は概ね前向き、海外展開にも注目
ウィリアム・ブレアのルイ・ディパルマ氏は、「ガイダンスには一部慎重な要素も見られるが、長期的には株価の上昇が見込める」と評価し、特に海外売上の拡大に注目しています。ディパルマ氏は投資判断を「買い」としています。
また、ジェフリーズのグレッグ・コンラッド氏は、「受注残の増加は、複数のスイッチブレード(ホバリング型兵器)の新規発注によるもの」と分析。目標株価を190ドルに設定しています。
ウクライナ関連売上の減少とともに構造転換が進行中
2024年度には、同社の売上のうち38%を占めていたウクライナ向けの比率が、2025年度には18%にまで減少。さらに2026年度には5%未満にとどまる見通しです。これにより、地域依存からの脱却と売上の分散化が進んでいます。
ウクライナ関連の需要減少を、他地域での成長によって補う構造転換が加速していると言えるでしょう。
まとめ:防衛・無人機分野の成長期待が株価を支える
今回の好決算と積極的な成長戦略により、エアロバイロンメントの中長期的な成長期待が高まっています。特に無人兵器やホバリング型ミサイルなど、先端防衛技術に対する需要の高まりが今後の株価を下支えする要因となりそうです。今後は、ブルーヘイロー買収によるシナジー効果や、海外市場での売上動向にも注目が集まります。