ステーブルコイン関連銘柄に対するウォール街の熱気が高まる中、金融テクノロジー大手のフィサーブ(FI)が新たな一歩を踏み出しました。6月23日、同社はFIUSDという新しいステーブルコインの立ち上げを発表し、市場の注目を集めました。
フィサーブとステーブルコインの連携
フィサーブは、新しいデジタル通貨プラットフォームの一環として、FIUSDを発行すると発表しました。この取り組みは、金融機関向けの決済や送金の効率化を目的としています。発表を受けて、同社の株価は4.38%上昇して終値が170.54ドルとなり、S&P500構成銘柄の中でも上昇率の上位となりました。
このプロジェクトには、ステーブルコインの発行で注目を集めるサークル・インターネット・グループ(CRCL)との協業も含まれており、サークルの株価も同日に9.64%上昇しました。サークルは6月5日にIPOを実施しており、初値31ドルに対して270ドル超まで急騰しています。
サークルのCEOであるジェレミー・アレア氏は、「フィサーブは、ステーブルコイン決済とオープン・インターネット金融の恩恵を数千の金融機関に広げる立場にある」とコメントしています。
パクソスおよびペイパルとの協力体制
フィサーブは、仮想通貨市場を提供するパクソス・トラストとも提携し、FIUSDを「金融機関にとって使いやすく、安全でスケーラブルなステーブルコイン」と位置付けています。また、ペイパル・ホールディングス(PYPL)との連携も強化しており、自社のFIUSDとペイパルが発行するPYUSDとの相互運用性を構築中と発表しました。これにより、米国内外での送金や決済の柔軟性が高まるとみられています。ペイパルの株価も2.8%上昇しました。
コインベースの新たな収益源「Coinbase Payments」
暗号資産取引所のコインベース・グローバル(COIN)も、ステーブルコイン領域での取り組みを加速しています。同社が発表した「Coinbase Payments」は、コマース向けに設計されたUSDC決済スタックで、過去2日間で株価が21.5%上昇するきっかけとなりました。
ベンチマークのアナリスト、マーク・パーマー氏は、コインベースに対して買い評価を維持し、目標株価を301ドルから421ドルに引き上げました。パーマー氏は「Coinbase Paymentsは、暗号取引収益に依存しない新たなスケーラブルな収益源になる」と分析しています。
さらにコインベースは、米国の規制市場でステーブルコインを担保とした先物取引の実現にも取り組んでいます。
ステーブルコイン関連株の動向に注目
米国議会では、ステーブルコインの規制枠組みを整備する「Genius Act(ジーニアス法)」の上院版が可決され、マーケットの関心は一段と高まりました。下院での審議や最終的なルール策定はまだ未定であるものの、規制強化とともに業界が本格化する可能性が高まっており、投資家にとっては新たな成長テーマとなっています。
特にフィサーブやサークル、コインベースといった企業は、今後のステーブルコイン普及において重要な役割を担う存在として、引き続き注視すべき銘柄といえます。今後の市場動向にも注目が集まりそうです。