パランティア株、地政学リスクで注目も…ウォール街は「割高」と警戒

2025年6月、米国株市場でパランティア・テクノロジーズ(PLTR)への注目が再燃しています。中東情勢の緊張が続く中で、政府との強固な関係や防衛関連のAIソリューションを提供する同社の存在感は高まっています。

特に米国国防総省からの大型契約、たとえば戦場分析ソフト「Maven Smart System」の正式版に対する7億9500万ドルの受注(プロトタイプ契約を含めて総額13億ドル近く)など、実績は確かです。軍や情報機関に向けて、膨大なマルチメディアデータを解析・共有し、ターゲットの予測・提案を可能にするGothamプラットフォームは、同社の強みとなっています。

しかし、ウォール街の評価は冷静です。

ウォール街の懸念:株価と企業価値のギャップ

D.A.デビッドソンのテックアナリストであるギル・ルリア氏は、「株価は地政学ニュースに過剰反応した個人投資家によって押し上げられている」と指摘します。ファクトセットによれば、28人のアナリストによる平均目標株価は107ドルと、6月23日の終値139.92ドルから24%も下に位置しています。

さらに、企業評価を測る代表的指標であるEV(企業価値)/NTM(12カ月先予想)売上高比率を見ても、パランティアは78倍と突出しています。これは、同様に高成長を見込まれているクラウドフレア(NET)の26倍やクラウドストライク(CRWD)の22倍を大きく上回ります。

主なソフトウェア企業のEV/NTM売上高倍率(2025年6月時点):

企業名ティッカーEV/NTM売上比率
パランティア・テクノロジーズPLTR78.1
クラウドフレアNET26.1
クラウドストライクCRWD22.1
ガイドワイヤーGWRE15.1
ZスケーラーZS14.4
サービスナウNOW14.0
スノーフレークSNOW14.0
サムサラIOT12.8
ヴィーバ・システムズVEEV12.5
ルブリックRBRK12.3

※パランティアを除く平均:約16倍

この比較から、投資家は「成長期待」に見合う実際の売上と企業の継続性を冷静に評価する必要があるといえます。

政府依存リスクも見逃せない

2025年の売上高のうち約55%が政府契約から来ているとされ、政権交代や予算変更による影響も大きいと予想されます。これは、他のSaaS企業に比べて事業ポートフォリオの分散性に欠ける点であり、潜在的なリスク要因です。


このように、パランティアは地政学的な後押しと政府契約によって注目を浴びる一方、株価水準や事業リスクを冷静に見つめる必要がある銘柄です。今後も高成長を維持できるかが、投資判断の分かれ目となります。

*過去記事はこちら パランティア PLTR

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