ホルテック・インターナショナル、原子力業界最大級のIPOを計画中

  • 2025年6月24日
  • 2025年6月24日
  • BS余話

米原子力企業のホルテック・インターナショナル(Holtec International)が、今後数カ月以内に新規株式公開(IPO)を実施する計画であると、最高経営責任者のクリシュナ・シン氏が明かしました。実現すれば、ここ数年で最大規模の原子力関連の上場案件となり、投資家にとって数少ない「純粋な原子力銘柄」への投資機会となります。

原子力業界で異彩を放つビジネスモデル

ホルテック(非上場)は、すでに原子力発電所の廃炉事業や核廃棄物の管理といった分野で大きな売上を上げており、年間売上は5億ドルを超えるとみられています。特に同社は、使用済み燃料の保管容器を世界中に販売しており、成熟したビジネスモデルが評価されています。

シン氏は、同社の株式の約20%を売却し、その資金で小型モジュール炉(SMR)の建設を推進すると述べています。現在、ミシガン州にあるパリセーズ原子力発電所の復旧プロジェクトを進めており、米国で初めて廃炉となった原発を再稼働させるという前例のない取り組みを行っています。

パリセーズ原発の復旧とSMRの展望

同社は、2022年に経済的理由で閉鎖されたパリセーズ原発を再稼働させる計画を進行中で、ミシガン州とエネルギー省から数億ドル規模の支援を受けています。さらに、同敷地内に2基のSMRを新設する構想もあり、現在は米連邦政府と州の承認を待っています。

ホルテックは、韓国の現代建設と協力してSMRの機器製造をすでに進めており、今後10年以内に10〜20基のSMRを同時に建設することを目指しています。1基あたりの建設費は約30億ドルとされ、相当な資金調達が必要になる見込みです。

テック企業と原子力の連携も進行中

近年、アルファベット(GOOGL)やアマゾン(AMZN)などのテクノロジー企業が、AIデータセンター向けの電力供給源として原子力に関心を示しており、ホルテックもこうした企業と協議を行っていることを明かしました。

現在、米国で稼働中のSMRは存在せず、同社の設計もまだ正式にライセンス取得はしていません。しかし、ホルテックのように実際の売上があり、事業基盤が確立している企業は少なく、業界内でも注目が高まっています。

株式市場での評価と他社との比較

競合他社と比較すると、ホルテックの市場価値は100億ドルを超える可能性が高いと見られています。他の小型原子炉企業と比較してもその優位性は明らかです。

  • オクロ(OKLO):80億ドル
  • ナノ・ニュークリア(NNE):15億ドル
  • ニュースケール・パワー(SMR):100億ドル超(米原子力規制委員会の認可あり)

ホルテックは、すでに実績ある企業でありながら、SMRという次世代エネルギー市場に挑戦する立場にあります。CEOのシン氏は「私たちは実際にモノを作っている」と語り、自社の価値に自信を見せました。

IPOのタイミングと今後の注目点

IPOの実施時期について、シン氏は「1月を予定しているが、顧問は4月を想定している」と述べており、上場準備が進行中です。同社は現在、財務管理システムやレポート技術の改善を進めており、上場企業としての体制を整えています。

IPOによる資金調達が成功し、パリセーズ原発の再稼働が11月に実現すれば、ホルテックは原子力業界の再成長を象徴する存在となるかもしれません。投資家にとっても、再生可能エネルギーとは異なる新たなエネルギー選択肢として注目すべき銘柄といえます。

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