米電気自動車メーカーのテスラ(TSLA)は、2025年6月22日に予定されているロボタクシーサービスの開始を控え、株価が小幅に下落しました。投資家の注目は、サービスの初期展開だけでなく、テスラのAI戦略の成長性にも集まっています。
ロボタクシー開始前に調整か、株価は小幅下落
6月20日(金)、テスラ株は前日比0.5%安の約320ドルで取引されています(米国東部夏時間13時30分時点)。このロボタクシー計画は、4月22日の第1四半期決算時に再確認されたものであり、発表以降の約2か月間で同社の株価は約35%上昇しています。
サービスは限定エリア・台数でのスタート
CEOのイーロン・マスク氏は今月初め、6月22日からロボタクシーの運用を開始すると明言。最新のモデルY車両を用い、サービスは限られたエリア、特定ユーザーに対して限定的に提供される予定です。また、万一の事態に備え、車両には遠隔操作者が配置されます。
一部では、テキサス州の民主党議員らが9月までの開始延期を求めていますが、現時点では実際の延期は可能性が低いとみられています。
招待ユーザー向けに先行公開、すでに招待状も送付
テスラは招待制により一部のユーザーにサービス開始を通知しており、22日の日曜から実際の運用が始まる見込みです。ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブス氏は「金曜朝に招待状を受け取った」と報告しています。
このような限定的なスタートは投資家にとっても想定内であり、大きな事故などがなければ好感される可能性があります。
テスラのAI戦略は1兆ドル企業価値の原動力に?
アイブス氏は今回のロボタクシー展開を「テスラにとって歴史的な転換点」と位置づけ、今後数年でAI事業が1兆ドル規模の企業価値を生む可能性があると評価しています。市場には依然として懐疑的な声もあるものの、今回の実行が強気派にとって追い風となることは間違いありません。
なお、同氏はテスラ株を「買い」と評価し、目標株価を500ドルと設定しています。
今後の注目点はサービスの拡大と販売動向
ロボタクシーのローンチ後は、サービスがどのスピードで全米へ広がるかが重要な焦点となります。現時点ではオースティンが試験運用地とされており、今後の全国展開がカギを握ります。
また、テスラは7月2日に2025年第2四半期の納車台数を発表予定です。バークレイズ証券のアナリスト、ダン・レビー氏は納車台数を37万5,000台と予測。前年同期の44万4,000台、およびファクトセットによるコンセンサス予想(約40万台)を下回る見通しです。同氏はテスラ株を「ホールド」、目標株価を275ドルとしています。
AI期待先行の中、業績への影響も要注視
テスラ株は年初来で約25%下落している一方、過去12カ月では約74%上昇しています。足元ではAI分野への期待が株価を支えていますが、自動車販売の鈍化は依然としてリスク要因となっています。
今後は、AIを活用したロボタクシー事業の収益化に加え、主力の自動車事業とのバランスが投資判断のカギとなります。
*過去記事はこちら テスラ TSLA