クローガー決算発表:売上未達も通期ガイダンス維持、株価は上昇

  • 2025年6月21日
  • 2025年6月21日
  • BS余話

米大手スーパーマーケットチェーンのクローガー(KR)は、2025年第1四半期決算を発表しました。調整後1株利益は市場予想を上回った一方で、売上はわずかに未達となりました。不透明な経済環境が続く中でも、同社は通期見通しを維持しています。

EPSは市場予想を上回るも、売上はわずかに届かず

クローガーの調整後1株利益は1.49ドルとなり、アナリスト予想の1.45ドルを上回りました。ただし、売上は前年比0.3%減の451億2,000万ドルとなり、市場予想の451億6,000万ドルには届きませんでした。

ガソリンを除いた既存店売上は前年比3.2%増と、堅調な成長を示しています。

通期見通しは据え置き、既存店売上のみ上方修正

クローガーは通期の業績見通しをおおむね据え置きましたが、既存店売上(燃料除く)の成長率見通しは、従来の2%〜3%から2.25%〜3.25%へと引き上げました。

最高財務責任者のデビッド・ケナリー氏は、「第1四半期は販売が好調で、利益も想定を上回った」と述べました。その一方で、「マクロ経済環境には不確実性が残っており、他の見通しは変更していない」としています。

約60店舗を閉鎖予定、財務への影響は軽微

クローガーは今後18ヶ月以内に約60店舗を閉鎖する計画で、この対応により1億ドルの減損損失を計上しました。ただし、経営陣はこの取り組みにより「穏やかな財務的な改善効果」が期待でき、業績見通しには影響しないとしています。

株価は上昇、過去1年で42%の伸び

決算発表を受けて、6月20日の米国市場でクローガーの株価は8.8%上昇し、71.27ドルで取引されています(米国東部夏時間14:20現在)。年初からの上昇率は17%、過去1年では42%の上昇となっています。

経営交代とアルバートソンズとの買収問題

クローガーは3月の第4四半期決算後にも株価が上昇しましたが、経営面では課題を抱えています。前CEOのロドニー・マクマレン氏は、「個人的な行動」に関する調査を受けて辞任しました。

また、2022年に発表した競合のアルバートソンズ(ACI)との246億ドル規模の買収計画は、独占禁止法の懸念から規制当局に阻止されました。現在、両社は訴訟中で、アルバートソンズはクローガー側が規制承認のための努力を怠ったと主張し、クローガーは契約違反として反訴しています。

関税の影響は限定的か

クローガーは前回の決算時に、トランプ大統領による関税が生鮮食品部門に一部影響を与えているものの、全体としては影響は小さいと述べていました。今回の第1四半期決算では、関税についての具体的な言及はありませんでした。

まとめ

クローガーは、厳しい経済環境の中でも安定した業績を維持し、通期見通しも据え置いています。既存店売上の上方修正や株価の上昇など、前向きな要素が目立つ一方で、経営体制や大型買収に関する不透明感も残っています。投資家にとっては、引き続き注視すべき銘柄といえそうです。

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