ソフトバンクの次なる賭け:米国で1兆ドル規模のAIハブ構想が浮上

ソフトバンクグループ(9984)の創業者である孫正義氏が、アリゾナ州に1兆ドル規模の巨大AI・ロボット製造拠点を設立する構想を進めていることが報じられました。この「Project Crystal Land(プロジェクト・クリスタルランド)」は、米国に最先端のハイテク製造業を呼び戻すという大胆なビジョンに基づいています。

AI産業の新たな拠点「Project Crystal Land」とは?

この構想は、中国・深圳のような産業都市をアメリカ国内に再現し、AI搭載の産業用ロボットなどの製造ラインを整備することを目指しています。関係者によると、ソフトバンクはこの計画において、エヌビディア(NVDA)のAI半導体を製造しているTSMC(TSM)に協力を打診している模様です。

ただし、TSMC側は既にアリゾナでの自社工場に1650億ドル規模の投資を進めており、本プロジェクトへの参加については未定とのことです。

トランプ政権との交渉と税制優遇

ソフトバンクの幹部は、連邦および州政府と協議を進めており、製造企業に対する税制優遇措置を含めた支援を求めています。米商務長官との接触も報じられており、政治的な後押しが実現性の鍵を握ります。

また、韓国のサムスン電子やソフトバンク・ビジョンファンドの出資先企業(Agile Robotsなど)にも協力を呼びかけているとのことです。

ソフトバンクの資金力とリスクテイク

2025年3月末時点でソフトバンクは約3.4兆円の現金を保有しており、Tモバイル株の一部売却によりさらに約4,800億円の資金を調達済みです。中核資産であるアーム・ホールディングス(ARM)の存在により、追加の借り入れ余力も十分と見られています。

また、同社はオープンAIと共同で5000億ドル規模のAIデータセンタープロジェクト「スターゲート」にも関与しており、こうしたインフラ整備とAIの実用化促進を両輪として成長戦略を描いています。

孫氏のAIにかける情熱

かねてより「AIに人生を賭ける」と語ってきた孫氏にとって、今回の構想は集大成とも言える挑戦です。ただし、専門家の間では「巨額の製造拠点を作るよりも、AI人材と製造ノウハウを持つ企業との連携や、スタートアップの支援がより効率的」との意見もあります。

現時点では初期構想段階にあり、実現には多くの課題が残りますが、もしこの計画が動き出せば、米国におけるAI産業の地理的な重心が大きく変わる可能性があります。

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