シェブロンとエクソンはAI銘柄?見過ごされがちな“電力インフラ”の本命

2025年6月20日、米投資情報誌のバロンズは、意外な視点からAI関連銘柄を再評価する記事を公開しました。その中で注目されたのが、石油メジャーのシェブロン(CVX)エクソンモービル(XOM)です。伝統的なエネルギー企業として知られる両社が、AI時代における電力インフラの担い手として再注目されています。

AIに必要なのは「演算力」ではなく「電力」

記事によれば、生成AIや自動運転、ロボティクスといった最先端分野の成長には、膨大な電力が不可欠です。データセンターの拡大が加速する中、電力供給に関わる企業が脚光を浴びています。

実際、米国の電力会社ビストラ(VST)やコンステレーション・エナジー(CEG)、さらに発電設備を提供するGEベルノバ(GEV)などが、AI時代の“インフラ銘柄”として評価を高めています。

同様に、従来は石油・ガス企業と見なされていたシェブロンとエクソンも、天然ガスを活用した発電供給体制を拡充しており、AIの電力需要を支える立場を築きつつあります。

電力不足と規制の壁が「供給価値」を押し上げる

AIの電力需要は今後さらに分散化し、病院や工場、住宅、倉庫、車両など“エッジ”と呼ばれる場所でのローカルな電力消費が増えると予測されています。これらの環境では、遅延や電力途絶が許されず、即応性の高い分散型の電力が求められます。

一方で、過剰な発電設備の建設は起きにくいとされています。新設には厳しい規制があるため、電力会社の多くは既存設備のアップグレードや、休止中の発電所の再稼働に注力しています。これにより、電力供給の過剰リスクは抑えられているのです。

石油銘柄に眠る「AIプレミアム」

22Vリサーチのジョルディ・ヴィッサー氏は、シェブロンとエクソンがAI時代における重要な電力供給者となる可能性を指摘しています。

シェブロンはGEベルノバおよびアクティビスト投資家エンジンNo.1と協力し、データセンター向けのガス発電を強化。一方エクソンは、原子力が現実的な選択肢となる前から、テック大手に電力を提供できる体制をアピールしています。

それでも市場では、両社はいまだ「石油循環株」として評価されており、2025年時点での予想PERはシェブロンが17倍、エクソンが16倍にとどまっています。AI関連銘柄としての期待が織り込まれれば、バリュエーションの見直し余地は大きくなります。

AIブームの次に来る“見えない勝者”

生成AIブームの中心には、エヌビディア(NVDA)やメタ・プラットフォームズ(META)といったテック企業がいますが、その背後で動く「電力インフラ」への投資も見逃せません。

バロンズの記事は、派手なトレンドの裏にある構造的な変化に目を向けることの重要性を教えてくれます。AIは「頭脳」であるだけでなく、「筋肉」でもあります。そして、その筋肉を動かす燃料を供給しているのが、シェブロンやエクソンのようなエネルギー企業なのです。

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