動画配信大手のネットフリックス(NFLX)は6月17日、ストリーミングの次なる成長戦略としてテーマパーク事業に本格参入する計画を発表しました。2025年後半にフィラデルフィアとダラスで「Netflix House」という常設の体験型施設をオープンし、さらなる展開を予定しています。
「観る」から「体験する」へ——Netflix Houseの特徴
ネットフリックスはこれまでも「イカゲーム」や「ストレンジャー・シングス」などの人気作品を使った期間限定のポップアップイベントを実施してきましたが、今回の「Netflix House」は100,000平方フィート規模の常設施設として展開されます。
初回は、ペンシルベニア州のキング・オブ・プラシャモールおよびテキサス州ダラスのガレリアモールにオープンする予定です。2027年にはラスベガス・ストリップにも新施設を開業する計画を明かしました。
来場者は、「イカゲーム」の“赤信号・青信号”のゲームを体験したり、「ストレンジャー・シングス」のシーンに入り込むような展示を楽しめるほか、Netflixオリジナル番組にちなんだレストランや限定グッズが並ぶショップも併設されます。展示内容は定期的に更新され、リピーターの来場も見込まれます。
ディズニーやコムキャストに続く収益多角化の試み
ネットフリックスがこのテーマパーク事業に力を入れる背景には、既存のストリーミング事業の成長鈍化を見越した収益の多角化があります。同様の戦略は、ウォルト・ディズニー(DIS)やコムキャスト(CMCSA)といった先行企業も採用しており、大きな成果を上げています。
2024年、ディズニーの「体験事業」(テーマパークやクルーズを含む)は総売上914億ドルのうち3分の1以上を占めました。また、コムキャストはユニバーサル・スタジオのテーマパーク事業から売上86.2億ドル、EBITDAベースで29.5億ドルを計上しています。
ネットフリックスの成長目標と市場での存在感
ネットフリックスは2024年に売上390億ドル、営業利益104億ドルを記録し、現在の加入者数は全世界で3億人超です。2030年までに加入者数を4億人以上に増やし、売上を2倍、営業利益を3倍にするという大胆な目標を掲げています。
その達成にはストリーミング以外の事業が欠かせません。テーマパーク事業は、こうした目標を支える重要な柱となる可能性があります。
株式市場ではこの戦略が好感されており、2025年に入ってからネットフリックスの株価は37.7%上昇しました。現在の時価総額は5221億ドルと、ディズニー(2129億ドル)やコムキャスト(1296億ドル)を大きく上回っています。
まとめ
ネットフリックスは、「観る」だけにとどまらず「体験する」世界を構築しようとしています。テーマパーク事業への進出は、エンターテインメント企業としての新たな成長フェーズへの第一歩といえそうです。今後の施設展開や業績への影響が注目されます。
*過去記事はこちら ネットフリックス NFLX