UBSのグローバル株式CIOが語る:AI、電化、長寿が生む次の10兆ドル企業とは

  • 2025年6月18日
  • 2025年6月18日
  • BS余話

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのグローバル株式最高投資責任者(CIO)、ウルリケ・ホフマン=ブルカルディ氏が、米国市場と未来の投資テーマについて語った注目のインタビューが米バロンズ誌に掲載されました。

元Tudor Investmentsのベテラン投資家であり、エヌビディアなどの黎明期からの成長を見抜いてきたホフマン=ブルカルディ氏は、今後の市場を動かす「変革的イノベーション」として以下の3つに注目しています。


注目すべき3つの投資テーマ

1. 人工知能(AI)

  • AIは人類史上初の「自己改善型技術」であり、今後はチャット型の活用から、企業向けの高度なタスク自動化(エージェント型AI)へと進化。
  • AIの高効率化は投資機会を減らすどころか、むしろ計算需要を拡大させ、市場規模は今後5倍にもなると予測。
  • チップやクラウドを支える「AIのつるはし企業」が最も恩恵を受ける。

2. 電化(Electrification)

  • AIデータセンターの需要を含め、2030年までに米国の電力需要は大幅に増加。
  • 一方、送電網は老朽化が進み、供給のボトルネックが予想される。
  • エネルギーインフラ企業やスマートグリッド関連銘柄に注目。

3. 長寿(Longevity)

  • 2034年には65歳以上の人口が18歳未満を上回る見込み。
  • AIを活用した創薬が進み、特にアルツハイマー病やがん領域でのブレイクスルーが期待される。
  • 医薬品企業や医療機器メーカーが中長期の投資先候補。

米国市場への見方と地政学的リスク

ホフマン=ブルカルディ氏は、米国の高い財政赤字水準にもかかわらず、経済成長が債務圧縮の鍵となると指摘。過去の米英加の事例と照らし合わせ、成長志向かつ財政健全性を両立する政策運営が求められると述べています。

また、AIが国家戦略上の重要技術とされる中で、半導体・医薬品への輸出規制が強化されている背景についても言及。地政学リスク(特に台湾有事)に備えるため、金や高品質グロース株への分散投資を推奨しています。


「成長の鍵は、過去の分類を捨てること」

従来の「グロース vs バリュー」「大型 vs 小型」といった投資スタイルの分類よりも、「いかに未来を形作る企業を見つけられるか」が今後のリターンを左右するとホフマン=ブルカルディ氏は強調。

同氏の分析によれば、過去30年の株式市場のリターンのうち、50%以上は企業固有要因によるものであり、わずか1%の上場企業が80%の富を生み出しているといいます。


次の10兆ドル企業を探せ

これまでに、ゼネラルモーターズが最初の100億ドル企業、IBMがPCで1000億ドル、アップルがスマートフォンで1兆ドルを達成してきました。次にやってくるのは、AI・電化・長寿という変革のうねりを巻き起こす10兆ドル企業かもしれません。

その中心にいるのは、再びアメリカ企業なのか——ホフマン=ブルカルディ氏の示唆は、未来のポートフォリオ戦略に大きなヒントを与えてくれます。

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG