メタ・プラットフォームズ(META)は、傘下のメッセージアプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」の収益化を加速させています。広告機能やビジネス向けサービスの拡充を通じて、今後数年で年間100億ドル超の広告収入をもたらす可能性があるとアナリストは予測しています。
WhatsAppが導入した新たなビジネス機能
2025年6月16日、WhatsAppは「チャンネルのサブスクリプション機能」「プロモートチャンネル」「ステータス広告」といった新機能を発表しました。これにより企業は、限定コンテンツによって有料チャンネルの購読者を獲得したり、自社チャンネルの露出を増やしたり、ステータス広告を通じて新たな潜在顧客にリーチできるようになります。
メタ・プラットフォームズは2014年にWhatsAppを190億ドルで買収した際、月間アクティブユーザー数は4億5,000万人、うち70%がデイリー・アクティブユーザーでした。現在では「アップデート」タブ(チャンネルとステータスを含む)だけで、1日あたり15億人以上が利用しているとしています。
チャット体験を損なわない収益化設計
メタは、広告導入によってユーザーのチャット体験が妨げられることはないと強調しています。今回の広告やプロモーションはすべて「アップデート」タブ内に限定され、個人チャットには一切影響しないと明言しています。
この慎重な姿勢は、WhatsAppが他のSNSと異なり、主にプライベートなメッセージ用途で使われているという特徴に配慮したものです。なお、メタは過去にもWhatsApp内に「発見」系の機能を導入しており、それが一部で成功を収めています。
年間広告収入100億ドル、営業利益50億ドル増も
エバコアISIのアナリスト、マーク・マハニー氏は、WhatsAppの新機能が年間100億ドル以上の広告収入を生む可能性があると予測しています。具体的には、アップデートタブの利用者が17億人に拡大し、1ユーザーあたり6ドルの広告収入が得られた場合、約102億ドルの売上とおよそ50億ドルの営業利益が加わるとしています。
同氏は「メタは新しい広告面を創出し、それを成功裏に収益化してきた実績がある」と指摘しており、今回のWhatsAppの取り組みもその延長線上にあると分析しています。
Instagramに続く新たな収益源となるか
Instagramはすでにメタにとって大きな収益源となっており、今回のWhatsAppの動きも、次なるマネタイズ基盤としての期待が高まっています。Instagramやフェイスブックと違い、WhatsAppはパーソナルな用途が中心であるため、広告の導入には慎重さが求められますが、裏を返せば、広告にうまく接触させれば非常に高い効果が期待できる市場ともいえます。
メタは今後、アップデートタブの機能拡充を通じて、WhatsAppの価値をさらに高め、収益の多様化を図る構えです。個人チャットに影響を与えない設計のまま、ビジネス活用を推進する姿勢は、ユーザーとの信頼関係を維持しつつ、収益化を実現する狙いが見て取れます。
*過去記事 メタ・プラットフォームズ