エナジードリンクメーカーのセルシウス・ホールディングス(CELH)の株価が2025年6月16日、約6%上昇しました。これは、証券会社TDカウエンが同社株の格付けを「ホールド」から「買い」へ引き上げ、目標株価を37ドルから55ドルへと大幅に修正したことがきっかけとなっています。
株価は16日昼過ぎの段階で43.77ドルで取引されており、投資家の間で注目が再び高まっています。
株価の乱高下から急回復、今年は56%上昇
セルシウスの株価は、2024年3月13日の最高値から2025年2月12日までに78%もの下落を記録していました。しかし、それ以降の数カ月で急速に持ち直し、2025年の年初来ではすでに66%の上昇を示しています。
この回復を支えているのは、好調なエナジードリンク市場の存在です。TDカウエンによると、過去4年間の同カテゴリーの年平均成長率(CAGR)は9.3%に達しており、これは食品・飲料業界全体の平均を3.5ポイント上回る水準です。
価格競争力と消費者心理が追い風に
エナジードリンクは従来、ソフトドリンクより高価格帯に位置していましたが、現在ではその価格差が縮小しており、コストパフォーマンスの高さが評価されています。TDカウエンは「マクロ経済の弱さが続く中でも、相対的な価格の手頃さが消費者に選ばれる要因となっている」と分析しています。
同社は現在、エナジードリンク市場においてレッドブルとモンスター・ビバレッジ(MNST)に次ぐ第3位のポジションを確保しており、さらなる成長余地があると評価されています。
ブランド戦略とマーケティングの成果
セルシウスは、ここ数四半期で主力ブランド「セルシウス」を戦略的に再構築してきました。新フレーバーの追加や積極的なマーケティング活動を通じて、ブランド力を強化しています。今月初めの投資家向けカンファレンスでは、小売店の春季商品入れ替えにおいて、セルシウスブランドの棚スペースが15〜20%拡大したと報告されました。
アラニ・ニュートリションの買収も追い風
2025年4月に行われたアラニ・ニュートリションの18億ドル規模の買収も、TDカウエンの強気な評価に影響を与えています。アラニ・ニュートリションは女性層に人気の飲料・サプリメントブランドであり、「アラニ・ヌ(Alani Nu)」の名で知られています。
当初はセルシウスブランドとの顧客層重複による売上カニバリゼーション(共食い)が懸念されていましたが、TDカウエンの店舗調査によると、ニューヨークやニュージャージーのコストコ、サムズクラブでは、両ブランドを合わせた棚スペースがレッドブルやモンスターよりも広く確保されているとの結果が得られています。
今後、アラニ・ヌがセルシウスの提携先であるペプシコの流通ネットワークに組み込まれることで、さらなる販路拡大が期待されています。
アナリストの評価は「買い」優勢
2025年5月以降に発表されたアナリストレポート18件のうち、14件が「買い」またはそれに相当する評価を与えており、残りの4件も「ホールド」にとどまっています。市場全体としても、セルシウスの今後の成長性に対する期待は高まっているといえそうです。
まとめ:セルシウス株は再注目の成長銘柄に
エナジードリンク市場の追い風、新ブランド戦略、そして戦略的な買収。これらの要素が組み合わさることで、セルシウス・ホールディングスは再び投資家の注目を集める存在となりつつあります。今後の株価推移にも引き続き注目が集まりそうです。