長期投資家の王道とも言える戦略は、「理解しやすく、10年・20年後に利益が着実に増えている企業の株を、合理的な価格で買う」ことです。これはウォーレン・バフェット氏が長年にわたり実践してきた哲学でもあります。
2025年現在、この哲学を体現するかのような銘柄が1つあります。それがIBM(インターナショナル・ビジネス・マシーンズ)です。テック業界では古株とも言える存在ですが、今では配当利回りと成長性の「いいとこ取り」ができる稀有な銘柄となっています。
109年の歴史を持つ配当銘柄、IBM
IBMは1916年から四半期ごとの配当を出し続けており、1995年以降は毎年配当を増やしているという実績があります。2025年6月時点の年間配当額は1株あたり6.72ドル。直近の株価に対する配当利回りは約2.4%と一見控えめですが、過去10年にわたって配当を再投資(DRIP)していた場合、その実質利回りは6.4%に達します。
10年前にIBMに1万ドルを投資していたら?
- 2015年6月:63株(当時の株価約158ドル)
- 2025年6月:配当再投資により約96株へ増加(+52%)
- 現在の評価額:約26,370ドル
- 年間受取配当額:約644ドル
このように、配当を活用した長期保有は、安定した現金収入と着実な資産増加を実現してくれます。
AIと量子コンピューティングの最前線へ
IBMは「レガシー企業」と見られることが多いですが、2025年の今、その姿は確実に変わりつつあります。
- 人工知能(AI)分野では、Watsonを基盤にしたエンタープライズAIの提供を強化
- 2029年の完成を目指して、画期的な量子コンピューティングセンターの建設を開始
特にAIにおいては、医療、金融、製造業など幅広い分野での導入が進んでおり、クラウド経由のAIサービス提供で安定した収益が見込める状況です。
割高感のない健全な評価
現在のIBM株はフリーキャッシュフローの20.3倍という妥当な水準で取引されています。テック銘柄の中にはPER50倍超のものも少なくない中、株主還元と成長のバランスを取った企業として非常に魅力的です。
まとめ:10年保有する価値がある「堅実な成長株」
IBMは配当銘柄としてだけでなく、AIや量子コンピューティングといった最先端技術に取り組む「変革するテクノロジー企業」です。10年後、さらなる高配当と成長の果実を享受したいなら、今のうちにポートフォリオに加える選択肢として検討する価値があります。
「10年持てない株なら10分も持つな」という言葉通り、IBMはまさに“10年持ちたい株”の筆頭候補です。
*過去記事はこちら IBM