2025年6月13日、イスラエルによるイラン攻撃(「オペレーション・ライジング・ライオン」)が報じられると、防衛関連株が米国市場で注目を集めました。S&P500指数やダウ平均が下落する中で、防衛セクターの一部銘柄は逆行高となり、投資家の関心が再燃しています。
米投資情報サイト「マーケットウォッチ」では、iShares U.S. Aerospace & Defense ETF(ティッカー:ITA)に組み込まれている主要銘柄のうち、2025年から2027年までの売上成長率(CAGR)に基づいたランキングを発表しています。以下は、その上位15銘柄の一覧です。
売上成長率上位15銘柄(2025〜2027年CAGR予想)
順位 | 企業名 | ティッカー | 売上成長率(CAGR) | 2025年売上見込み(百万ドル) | 2026年売上見込み(百万ドル) | 2027年売上見込み(百万ドル) |
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1 | アーチャー・アビエーション | ACHR | +487.9% | 13 | 130 | 437 |
2 | ロケット・ラブ | RKLB | +44.6% | 572 | 891 | 1,197 |
3 | アクソン・エンタープライズ | AXON | +21.0% | 2,655 | 3,265 | 3,885 |
4 | ロア・ホールディングス | LOAR | +18.1% | 497 | 587 | 694 |
5 | クラトス・ディフェンス | KTOS | +15.1% | 1,285 | 1,485 | 1,701 |
6 | ボーイング | BA | +13.9% | 83,453 | 97,493 | 108,240 |
7 | スピリット・エアロシステムズ | SPR | +13.5% | 7,618 | 8,544 | 9,822 |
8 | スタンダードエアロ | SARO | +10.7% | 5,936 | 6,611 | 7,269 |
9 | ハウメット・エアロスペース | HWM | +10.0% | 8,081 | 8,934 | 9,776 |
10 | ヘクセル | HXL | +9.7% | 1,909 | 2,107 | 2,299 |
11 | GEエアロスペース | GE | +9.3% | 39,830 | 44,030 | 47,626 |
12 | BWXテクノロジーズ | BWXT | +9.1% | 3,057 | 3,343 | 3,639 |
13 | トライアンフ・グループ | TGI | +8.2% | 1,340 | 1,459 | 1,569 |
14 | キャドレ・ホールディングス | CDRE | +7.5% | 630 | 681 | 729 |
15 | ハイコ | HEI | +7.0% | 4,415 | 4,756 | 5,055 |
伝統的大手の安定成長も無視できない
一方、ロッキード・マーチン(LMT)やレイセオン・テクノロジーズ(RTX)、L3ハリス(LHX)といった老舗企業も注目です。6月13日の米国市場で、LMTは+3.7%、RTXは+3.3%、LHXは+2.6%の株価の上昇を記録しました。中東地域での軍事的緊張の高まりにより、防衛需要が再び強まっていることが背景にあります。
また、欧州各国がウクライナ戦争への備えとして防衛支出を拡大している点や、米政権が国際的な軍事関与に慎重姿勢を見せている点も、防衛企業の中長期的な受注拡大を後押しする可能性があります。
投資家への示唆
マーケットウォッチのデータによれば、S&P500採用銘柄全体の2025〜2027年の売上CAGRは約5.6%とされています。それと比較して、上記のような防衛セクター銘柄は大きく上回る成長見通しを示しています。
ただし、成長率だけでなく、各社のバリュエーション(P/E倍率)やリスク要因にも注意が必要です。たとえば、アクソン(AXON)はフォワードP/Eが100倍を超え、ボーイング(BA)は一時的な赤字見通しを含むなど、株価水準とのバランスも見極める必要があります。
まとめ
2025年の中東情勢が防衛関連銘柄に再びスポットライトを当てる中、投資家にとっては注目すべき局面です。高成長の新興企業に注目するもよし、安定成長と高配当が期待できる伝統企業に注目するもよし。地政学リスクと世界の安全保障環境を冷静に見極めながら、ポートフォリオを再点検するタイミングかもしれません。