Google検索の終焉?生成AIが変えるネットの勢力図

2025年6月13日、米投資情報誌『バロンズ』は、「Google Search Is Fading. The Whole Internet Is At Risk.」というタイトルの記事を公開し、Google検索の影響力が徐々に低下していることが、インターネット全体のエコシステムに深刻な影響を及ぼしていると警鐘を鳴らしました。本記事では、その概要と注目すべきポイントを紹介します。

検索トラフィックが急減:AIの台頭が引き金に

調査会社SimilarwebやSemrushのデータによると、従来のGoogle検索からのトラフィックが、過去1年で目に見えて減少しています。旅行系サイトのトリップアドバイザーでは前年比で34%、ニュース・メディア系では17%、Eコマースでは9%のトラフィック減が観測されました。

この背景には、オープンAIのChatGPTやスタートアップのPerplexity AIなど、AIを活用した新しい検索体験の普及があります。特に「AIによる要約表示(AI Overviews)」をGoogle自身が導入したことで、ユーザーがリンクをクリックせずに情報を得る場面が増えていると報告されています。

メディア企業やサービス提供者への深刻な影響

バロンズによれば、ビジネス・インサイダーはトラフィックの減少を理由に従業員の21%を削減。オンライン学習支援のチェッグ(CHGG)は「GoogleのAI Overviewsにより、従来得ていた検索流入が激減した」として事業売却を検討中です。

検索に依存していた企業ほどダメージが大きく、レディット (RDDT)やトリップアドバイザー(TRIP)などの業績にも影を落としています。

Google自体への影響と反転戦略

Googleの親会社であるアルファベット(GOOGL)の株価は2025年に入ってから7%下落。成長株のカテゴリーから「バリュー株」として分類されることも増えています。しかし同社はクラウドや自動運転、GeminiなどのAIモデルへの投資によって多角化を進めており、検索以外の収益源を確保しつつあります。

「ポスト検索時代」に生き残る企業とは?

検索からの流入依存度が低い企業は比較的影響を受けにくいとされています。たとえばエアビーアンドビー(ABNB)は検索依存度が14%にとどまり、ドアダッシュ(DASH)、ウーバー・テクノロジーズ(UBER)は13%。ピンタレスト(PINS)やInstagramもアプリからのダイレクト流入が多く、検索経由での影響は限定的です。

また、広告ビジネスの柱をInstagramやFacebookに持つメタ・プラットフォームズ(META)は、検索広告の減退を横目に、AIを活用した広告の精度向上でリードを広げつつあります。

インフラを支えるエヌビディアの存在感

AI検索の裏側で注目されているのが、AI半導体を提供するエヌビディア(NVDA)です。CEOジェンスン・フアン氏によれば、最新の「推論型AI」は従来のチャットボットよりも100倍の計算資源を必要とし、同社のGPU需要を加速させているとのことです。

Googleは生き残るが、他は?

検索を起点としたインターネットの構造が変わる中で、Googleは依然として膨大なリソースを持ち、AI分野でも主導権を握ろうとしています。しかし問題は、それ以外の数多くのメディア、サービス、プラットフォーム企業が、これまでの集客モデルを見直す必要に迫られているという点です。

バロンズは「Googleは問題ない。心配すべきは、他のインターネット企業だ」と締めくくっています。

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