エヌビディア株下落もAI欧州戦略が拡大中!最新動向を解説

2025年6月13日、エヌビディア(NVDA)の株価は前日比で2%近く下落しています(米国東部夏時間14:20現在)。これは、イスラエルによるイランへの大規模攻撃を受けて、投資家心理がリスクオフに傾いたことが背景にあります。

ただし、エヌビディアの株価は6月の月間ベースでは依然として上昇基調を維持しており、年初来でも堅調に推移しています。2025年1月6日に記録した過去最高値149.43ドルに対して、現在の株価はわずか5%未満の差にとどまっています。

エヌビディアCEOが欧州で発表した複数のAI戦略

エヌビディアの最高経営責任者であるジェンスン・フアン氏は、今週ヨーロッパ各国を巡るツアーの中で、多数の新しい取り組みを発表しました。特に注目されたのが、パリで開催されたAI開発者会議です。

この会議では、ドイツ、スウェーデン、イタリア、スペイン、イギリス、フィンランドにおけるAI技術センターの設立・拡張計画が明かされました。さらに、欧州企業との新規および既存のパートナーシップ強化も発表されています。

これらの取り組みにより、エヌビディアはグローバルなAI基盤構築において先行する立場をさらに強化する見込みです。
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AMDの新AIチップ発表も影響限定的

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は6月12日、新たなAIチップを発表しましたが、エヌビディアの優位性に対する市場の評価は依然として揺らいでいません。シティのアナリストであるクリストファー・ダネリー氏は、AI向けGPU市場の約90%を依然としてエヌビディアが占めていると分析しています。

AMDの株価もこの日2%下落しており、発表が市場に大きなインパクトを与えるには至りませんでした。
*関連記事「AMDが次世代AIチップ「Instinct MI350シリーズ」を発表、エヌビディアに迫るか

オラクルの好決算がAI関連株の支えに

一方で、ソフトウェア企業のオラクル(ORCL)は11日、四半期決算で市場予想を上回る業績を発表し、2026年度に向けた強気の見通しを示しました。これにより、AI関連株全体のセンチメントが改善しました。

ドイツ銀行のアナリストによると、オラクルはクラウド・インフラ分野での成長加速を見込んでおり、この分野はエヌビディアにとっても追い風となります。また、オラクルの会長ラリー・エリソン氏は、AI向けネットワーク技術への積極投資を進めると述べ、エヌビディアやアリスタ・ネットワークス(ANET)にも好影響をもたらすとの見方が示されています。
*関連記事「2025年Q4決算好調のオラクル、2026年度の「驚異的な成長目標」で株価急騰

半導体全体の調整も進行中

この日は他の半導体関連株も下落しました。ブロードコム(AVGO)は2.2%安、マーベル・テクノロジー(MRVL)は2.4%安となりました。また、iシェアーズの半導体ETFも1.6%下落しています。

エヌビディア株は2025年4月4日、トランプ大統領による包括的な対中関税政策が発表されたことを受けて、一時52週安値の94.31ドルを記録しました。しかしその後、関税措置の多くが一時停止されたこともあり、株価は急速に回復を見せています。


このように、短期的な株価の調整があっても、エヌビディアのAI分野における強固なポジションとグローバル展開戦略は引き続き注目に値します。中長期的には、世界のAI需要拡大とともに、成長余地は十分に残されていると言えます。

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